千葉県松戸市の神社で、ロシアのプーチン大統領を模したとみられる「わら人形」が、御神木などに大きなクギで打ちつけられる被害が相次いでいることが7日、千葉県警や神社などへの取材で分かった。

顔部分にプーチン氏とみられる顔写真を貼り付けた全長約40センチの「わら人形」。中には額に「凶」と赤ペンで書かれていたり、胴体部分に「ウラジミール・プーチン 1952年10月7日生 抹殺祈願」などと書かれた紙が折り畳んで挟まれたものもあった。JR松戸駅から北小金駅付近の東側半径約3キロ範囲にある約10件の神社が、先月中旬から今月にかけ、県警に被害を通報した。

発見されたわら人形は、わらを束ねてひもで縛って作ってあり、別々の神社で発見されていながら、作り方が似ているものもある。くぎの打ち方も、頭と胸の2か所に打たれている人形が、複数確認されている。

金ケ作熊野神社では、大型連休明けに参拝者によって発見された。立ち入り禁止の鎖が周囲に張られた樹齢200年超のクスノキに打ち付けられていたという。神主の高橋丈夫さん(71)は「神社としては大事に守ってきた御神木ですから、やめてほしい」と願った。「わら人形なんて江戸時代の話かと思っていたけれど、現代もネットでも売っているんですね」と驚いた様子で「神社は平和と幸福を願うところ。恨み言をかなえるところではない」と困惑している。

三日月神社では、さい銭泥棒対策で設置していた防犯カメラに5月19日午後2時ごろ、不審な人物が写っていたという。人物のかばんにはわら人形が入っているように見えるといい、関連は不明だが、同24日に警察に届け出て、映像を提供した。松戸東署は、周辺の防犯カメラ映像や目撃情報などを幅広く入手し、わら人形との関連を含め、慎重に捜査している。器物損壊や建造物侵入などの疑いがあるとみている。

赤城神社でも市の保護樹木に指定されているスダジイの巨木が被害。安房須神社ではこの日も、本殿脇の木に「わら人形」が刺さったままだった。【鎌田直秀】

<わら人形が関連した主な事件>

▽民事で賠償命令(08年6月) 会社の同僚男性の妻から、この男性の「不倫相手」と疑われ、わら人形を送り付けられるなどの嫌がらせを繰り返され精神的苦痛を受けたとして、岡山県内の40代女性が妻に対して1100万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、岡山地裁は、妻に500万円の支払いと謝罪文の送付を命じた

▽ストーカー規制法違反の疑いで逮捕(17年1月) 交際を断られた名古屋市の20代女性の自宅敷地内に針の刺さったわら人形のようなものを置いたとして、愛知県警はストーカー規制法違反の疑いで、30代の男を逮捕。のちに不起訴に

▽脅迫の疑いで逮捕(17年1月) 好意を抱いた相手の名前を書いたわら人形をくぎで貫いた状態で相手の職場付近に置いて脅したとして、群馬県警は脅迫の疑いで藤岡市の50代の無職の男を逮捕。簡裁が罰金20万円の略式命令

▽脅迫容疑で逮捕(17年9月) 脅迫容疑で逮捕 「クソがきども」「死ね」などの脅し文句を書いたわら人形を小学校の通学路につるし、児童を脅したとして、警視庁は脅迫の疑いで、東京都江戸川区の40代の無職の男を逮捕