将棋の里見香奈女流4冠(30=女流王座・女流王位・女流王将・倉敷藤花)が28日、プロ棋士編入試験を受験することを表明した。日本将棋連盟を通じ、「このたび、棋士編入試験受験申込書を提出致しました。全力を尽くしますので、静かに見守って頂けると幸いです」とコメントを発表した。

編入試験は新人棋士5人と戦い、3勝で合格となる。将棋のプロは棋士と女流棋士がいて制度が異なり、棋士になるには養成機関の奨励会を卒業するか、編入試験合格が条件。過去に奨励会を退会してこの試験に合格したのは05年の瀬川晶司現六段(52)、14年の今泉健司現五段(48)、20年の折田翔吾四段(32)の3人。里見が合格すれば、史上初の女性の棋士となる。

里見は5月27日、棋王戦予選決勝で古森悠太五段(26)を破り、女流棋士として史上初のタイトル戦の本戦進出を果たした。プロ棋士相手の直近公式戦成績を10勝4敗とし、プロ編入試験を受けるのに必要な「最近の公式戦で10勝以上、かつ勝率6割5分以上」の条件を満たした。

これまで態度を保留していた。受験するにはプロ編入試験の受験資格を得て1カ月以内に同連盟に申請する必要があり、里見は6月24日に連盟に申請した。受理月の2カ月後から、若手棋士との5番勝負が1カ月に1局ペースで行われる。

女流棋士がこの試験に合格した場合、女流棋戦、プロ棋士公式棋戦の両方に出場できる。囲碁の世界では藤沢里菜女流本因坊(女流名人・扇興杯=23)が一昨年の「広島アルミ杯・若鯉戦」で、公式戦の男女混合棋戦で女流棋士として初めて優勝している。

終盤の鋭さから「出雲のイナズマ」と呼ばれる里見がここまでなれるか。まずは試験の突破が条件となる。

【里見香奈女流4冠編入試験5番勝負】

◆第1局 徳田拳士四段(24)

◆第2局 岡部怜央四段(23)

◆第3局 狩山幹生四段(20)

◆第4局 横山友紀四段(22)

◆第5局 高田明浩四段(20)

※3勝で合格。対局期日と場所は後日発表される。

 

◆里見香奈(さとみ・かな)1992年(平4)3月2日、島根県出雲市生まれ。04年、女流プロ2級でデビュー。08年11月、倉敷藤花戦で初タイトル後、女流棋士最多の通算48期獲得。プロ棋士養成機関の「奨励会」では最高段位の算段まで昇段したが、18年3月に26歳の年齢制限により退会した。川又咲紀初段(26)は実妹。