「天久鷹央の推理カルテ」などで知られる、作家で医師の知念実希人氏(43)が9日、ツイッターを更新し、前日8日に奈良市内で参院選の街頭演説中に銃撃され、亡くなった安倍晋三元首相(67)を治療した、奈良県立医科大学付属病院(橿原市)に対し、クレームを入れないよう呼びかけた。

知念氏は、同病院の対応について「事件後、すぐ蘇生術開始、6分で救急車到着、ドクターヘリに乗り換え、地域最高の救急センターへ搬送、100単位の輸血しつつ開胸心臓マッサージ。全ての完璧です」と評した。そして「救命出来なかったのは外傷が余りに重かったからです」と分析した。

その上で「奈良医大にクレームが入っているようですが、絶対にやめて下さい」「奈良医大へのクレームは、それに対応することにより病院機能を落とし、

現在、治療を必要としている患者さんを危険に晒します。今回、奈良医大は賞賛されこそすれ、非難されるような全くしていません。奈良医大の医療従事者に、命を救うという仕事に集中させてあげてください」と呼び掛けた。

安倍氏は8日午前11時半ごろに銃撃に遭い、救急隊は午前11時40分ごろ到着。救急車とドクターヘリで搬送され、午後0時20分ごろに奈良県立医大付属病院に到着したが、心肺停止状態だったという。同病院によると、安倍氏は首のやや右前部に約5センチの間隔で2カ所の小さな銃創とみられる傷があり、心臓と胸部の血管が損傷。心室の壁には穴が開いていた。左肩前部に1つ、弾丸が抜けたような傷もあった。

外来処置室で手術が行われ、胸部を開いて止血や大量の輸血などの処置が行われた。病院は最終的には20人以上で懸命の処置を続けたが、午後5時3分に亡くなった。死因は失血死とみられるという。

元海上自衛隊員の職業不詳、山上徹也容疑者(41)が、演説中の安倍氏に背後から近づき、手製の銃とみられるもので複数回発砲。現行犯逮捕された。