藤井聡太王位(竜王・叡王・王将・棋聖=19)が豊島将之九段(32)に先勝を許した、将棋の「お~いお茶杯第63期王位戦7番勝負第2局」(札幌市「ぬくもりの宿ふる川」)は14日午後6時21分、99手で先手の藤井が豊島を下し、1勝1敗とした。

「ひふみん」こと、加藤一二三・九段の「ひふみんアイ」をお届けします。

   ◇   ◇   ◇

急転直下の終局でした。豊島さんは9筋の歩を突く考えはなかったのでしょうか? 不可解です。端攻めをつなげていれば、藤井王位がふりほどく手がなく、最後の反撃のチャンスとみていました。現役棋士100人のうち、50人は終盤の優劣は分からないと答えるはずです。

同じ負けでも一方的にやられてしまったのなら、気持ちの切り替えもできます。優勢な将棋をひっくり返されたとか、勝ち筋に気づかずに負けてしまったというのは結構、尾を引くものです。まさに「手痛い」1敗でしょう。

対する藤井王位は、軽妙手と積極性が目立ちました。速度を重視しての勝利です。連敗して折り返すのとでは大違い。次の棋聖戦第4局(17日、名古屋市)も含め、タイトル防衛に向け、軽やかな気分で臨める白星となったのではないでしょうか。