8日に死去した英国エリザベス女王のひつぎを守る通夜の儀式で、王室離脱後初となる2年半ぶりの軍服姿を披露したヘンリー王子(38)が、肩に刺しゅうされている女王のイニシャル「ER」が外されていたことにショックを受けていると英サンデー・タイムズ紙が報じた。

2020年に公務を退いたヘンリー王子は、女王の葬儀に関する一連の行事で軍服を着用することが禁じられていたが、父チャールズ国王の要請で、17日の夜にひつぎが安置されているロンドンのウエストミンスター・ホールで8人の孫たちと共にひつぎを囲む儀式でのみ、特別に着用が認められていた。

しかし、英陸軍で10年間任務につき、アフガニスタンに2度派遣されているヘンリー王子は、自身だけ軍服からイニシャルが剥がされたことは意図的だと感じ、深く傷ついたと王子に近い関係者が語っている。

米Usウィークリー誌は、ウィリアム皇太子の軍服には「ER」のイニシャルが確認できるが、ヘンリー王子の軍服にはなかったと、写真入りで2人の軍服を比較して報じている。

イニシャルが外された理由は公表されていないが、「ER」は女王の文房具や署名入りの書類などに頻繁に使われていたものであることから、女王に仕える者だけが身に着けることができると考えられ、公務を退いていることを理由に外された可能性が浮上している。

一方で、前日に女王の子供4人で行われた通夜の儀式では、同じく公務を退いているアンドルー王子の軍服にはイニシャルがあったことから、ヘンリー王子は屈辱を感じ、軍服を着用しないで出席することも考えたと関係者は語っている。

19日に行われる国葬は、ヘンリー王子とアンドルー王子は共に軍服ではなく、モーニングスーツを着用して参列すると伝えられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)