東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で被災した福島県東部にある15市町村の町並みなどの写真撮影を全国から無料で頼めるサービス「TORETATE(撮れたて)」の取り組みが始まっている。依頼者はウェブ上で場所を指定し、登録している撮影協力者が現地に赴く仕組みで、将来的な収益化を目指す。

発案したのは東京都で教育関連会社を経営する沖野昇平さん(29)。昨年10月、起業アイデアを競う経済産業省主催のイベントで、第1原発が立地する大熊町などを訪れた。「避難している住民らは町の変化が気になるのではないか」と思い付いたサービスの原案は、グランプリに輝いた。

撮影協力者は対応可能な地域を選んでサービスに登録。撮影を受注し運営会社を通じて写真データを送信すると、100円の謝礼を受け取れる。昨年12月の開始から約1カ月で17件の撮影依頼があり、10件が成約した。撮影対象はさまざま。県外に暮らす60代女性は浪江町の実家、JR浪江駅などの撮影を依頼した。受信した写真を見て「全く変わった」と驚きの声を寄せたという。

撮影協力者への謝礼は沖野さんの会社が支払っているが、将来は広告収入などで賄い、収益の出るサービスに育てるのが目標だ。沖野さんは「町の中の人と外の人が新たな関係を築くきっかけになればいい」と話す。

サービスのURLは、https://peraichi.com/landing_pages/view/315mr/