東京・明治神宮外苑地区の再開発をめぐり、名物のイチョウ並木を現状のまま保存するため、国の「名勝」に指定するよう求める声が出ていることについて、3日の衆院予算委員会で質疑が行われた。

立憲民主党の阿部知子衆院議員は「イチョウ並木には100年の歴史がある。名勝指定は(地元の)自治体から申し入れるものだが、(担当官庁の)文化庁として『(申し入れの呼びかけを)待っている』という姿勢を呼びかけてほしい」と、永岡桂子文科相に要請した。阿部氏は、超党派の国会議員でつくる「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」のメンバーで、現状の再開発計画の見直しを求めている。

これに対し、永岡氏は「イチョウ並木については、まずは地元自治体で保存と開発が両立できるように、所有者と調整をいただくことが必要。まだ現時点では(その環境は)整っていないと承知している」と指摘した上で「本日の国会でのやりとりを、文化庁から地元自治体にもしっかり伝えてまいりたい」と述べるにとどめた。

「名勝」は文化財保護法に定められ、国が指定する文化財の1つ。再開発計画では、新たに建設される野球場の壁がイチョウ並木に近接する予定で、専門家などが再開発計画に伴う工事によるイチョウの根の生育への影響を懸念しているほか、現状の保全方法への疑問の声も強い。

一方、東京都は先月20日、事業者側が作成した環境影響評価(アセスメント)の評価書を公示した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)諮問機関「イコモス」の日本国内委員会などは、都の環境影響評価審議会で再審議を行うよう求めているが、同30日には事業者側が都に提出した着工届も公示されるなど、工事着工への準備が進んでいる。【中山知子】