8日の衆院予算委員会で質問に立った立憲民主党の野田佳彦元首相が、安倍晋三元首相が生前進めたアベノミクスについて、「大衆酒場でいつも頼むコップ酒」(野田氏)に例えながら、その効果を疑問視する場面があった。

野田氏は「総理も酒が好きだから言うけど…」と、同じ酒豪の岸田首相に話し始めた。居酒屋で受け皿の上に置かれたコップに店員から、一升瓶の酒をついでもらう際のことを例えに「なみなみと注いでくれた酒はこぼれ落ちる。下の受け皿にたまる。表面張力が張った(コップの)酒を飲み、上から2~3センチ、あいたところに受け皿から酒を入れるのが、いちばん幸せな時だ」と、水を飲むために置かれたコップを手にしながら、力説した。

その上で「アベノミクスは、なみなみと入れようとしてきたと思う。でも下で待っている受け皿には来なかった。届かなかった」と指摘。大企業や富裕層から低所得者層に富がしたたり落ちるという理論の「トリクルダウン」は起きなかったとの認識を示した。その上で「届いたところと届かなかったところの格差が広がった」と述べ、アベノミクスの効果を疑問視した。

野田氏に、「アベノミクス踏襲か、脱アベノミクスか」と問われた岸田首相は「アベノミクスの成果の上に立って、新しい時代の持続可能な経済を考えないといけない」と答弁。一方、野田氏は、首相の年頭会見での発言内容を引き合いにしながら、「私は(岸田首相の)脱アベノミクス宣言と受け止めた」と述べた。【中山知子】