渡辺明名人(棋王=38)への挑戦権を争う、将棋の第81期A級順位戦最終9回戦が2日午前9時から静岡市「浮月楼」で一斉に5局行われる。

注目は、王将初防衛、棋王奪取による史上最年少6冠まであと1勝に迫っている藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)。この順位戦では史上最年少名人と7冠への挑戦に向け、6勝2敗でトップを走っている。藤井は1日、静岡市に初見参し、ほかの9人のA級在籍棋士とともに開会式に出席した。

藤井は「前期まで中継を見て楽しんでいましたが、今期は対局できてうれしく思います」と切り出した。10人総当たりで1年かけて行われるこのリーグ、今年2月に終えた8回戦を終え、広瀬章人八段(36)とともにトップを走る。

2日の対局は、今期ともにB級1組から昇級した稲葉陽八段(34)と戦う。過去5勝2敗とリードしている。勝って、広瀬が菅井竜也八段(30)に敗れれば、初の挑戦権を得る。藤井と広瀬がともに勝てばプレーオフ。逆に藤井が負けて広瀬が勝てば、広瀬が挑戦者となる。

順位戦は組み合わせ発表時から先手後手が決まっており、今回は先手番。本年度はここまで先手番で30勝1敗、昨年6月のA級順位戦1回戦の佐藤康光九段(53)戦から実に27連勝中だ。しかも、一昨年7月に開催された棋聖戦5番勝負第3局(沼津市)以来、静岡県内のタイトル戦は5戦負けなしと、相性がいい。圧倒的な追い風になる。

「自力(で挑戦可能)という形で最終局を迎えることができましたが、意識しすぎても良くないので、今まで通り集中して対局に臨めればと思います」。

今月は5日に棋王戦第3局(新潟市)、11、12日に王将戦第6局と大きな対局が控えている。その前に、「名人をこす」と小学生時代に文集で書いた夢への実現に向けて名人戦で7冠への挑戦権を得るため、目先の勝利に全力投球だ。

2日の対局は藤井対稲葉、菅井対広瀬、斎藤慎太郎八段(29)対永瀬拓矢王座(30)、糸谷哲郎八段(34)対佐藤康、豊島将之九段(32)対佐藤天彦九段(35、いずれも上が先手)。「将棋界の一番長い日」が始まる。【赤塚辰浩】

〇…6勝2敗の藤井が稲葉、同星の広瀬が菅井にと、トップの2人がいずれも負け、5勝3敗の豊島が佐藤天に勝った場合、5勝3敗同士の斎藤対永瀬戦の勝者まで合わせ、最大5人が6勝3敗で並ぶ可能性がある。

こうなると、順位(相撲の番付のようなもの)が下の2人がまず1回戦を行い、そこからノックアウト方式で勝ち上がる「パラマス」形式のプレーオフとなる。順位9位と、5人の中で最下位の藤井は挑戦権獲得まで4勝が必要となる。

最近では、5年前の11人総当たりによる第76期で、6人が6勝4敗で並んでパラマス戦になり、羽生善治現九段が挑戦権を獲得した例がある。