今年は、東日本大震災から干支(えと)が一回りして再び卯(う)年。大津波で児童、教職員計84人が犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校で、小学6年生だった次女みずほさんを亡くした佐藤敏郎さん(59)は、今年の佐藤家の年賀状に、みずほさんがあの年に描いた年賀状のデザインをスキャンして使った。

ウサギの絵や「あけまして おめでとうございます」などの文字や年数の数字なども、みずほさんのものだ。佐藤さんは「あの年、あいつは一生懸命ウサギの絵を描いたんです。あの日の年賀状は、最後の年賀状じゃなかったんですね」と話す。

佐藤さんは震災当時、女川の中学校の国語教師だった。15年に辞め、「大川伝承の会」共同代表などを務め、大川小での語り部ガイドや全国での講演はじめ幅広い伝承活動などを続けている。「あの日までのこと、あの日のこと、あの日からのこと」を伝え、問い掛けている。「私も学んだことや分かってきたことがありますが、乗り越えられるはずも、忘れられるはずもありません。自分らしく向き合っていくしかないです」とし、大川小については「私たちにとって、あそこは子どもたちが遊んでいた場所だし、歓声が今でも聞こえてくる場所でもあります」とも。今年の年賀状について「(みずほさんが)お父さん、手を抜いたんじゃないのって言ってると思いますよ」と付け加えた。

現在東京で会社員をしている佐藤さんの長女そのみさんは、日大芸術学部映画学科時代に震災をテーマに自主製作映画を監督した。その作品「春をかさねて」と「あなたの瞳に話せたら」が今、各地で上映されている。また、ドキュメンタリー映画「『生きる』大川小学校津波裁判を闘った人たち」(寺田和弘監督)も公開中だ。