将棋の藤井聡太棋王(竜王・王位・叡王・王将・棋聖=20)が、初の棋王獲得と史上最年少6冠から一夜明けた20日、前日まで棋王戦5番勝負第4局の激闘をしていた栃木県日光市「日光きぬ川ホテル三日月」で一夜明けの会見を行った。

「六冠」と揮毫(きごう)した色紙を、藤井は照れくさそうに笑いながら手にした。結果を出すことができたうれしさや光栄な思いを実感すると同時に、立場にふさわしいように頑張らないととの思いも新たにした。19日の終局後の会見でプレゼントされた栃木県名産のイチゴは、まだ食べていないという。

6冠獲得ということについて、「しばらく防衛戦が続くなかで、棋王戦で挑戦の機会を得られて、獲得できたのはうれしい結果かなと思っています」と話した。

今シリーズは熱戦が続いた。1日制で持ち時間が4時間と短い対局で、時間の配分を意識して指してうまくいったという。ただし、「終盤以降、複雑で難解な局面が多く、そのなかでうまく判断できなかったのが課題」とした。

棋王獲得で本年度の対局は終了。王座戦を除いて、タイトル戦は出ずっぱりだった。「全体を通して勝負強くさせました。大変なシリーズが多いなか、粘り強く指して結果につなげられたのは大きな収穫だったかなと思います」。

慌ただしい日程の移動中に、「乗り鉄」として鉄道を楽しんだ。今回も東武鉄道の特急スペーシアに初めて乗ったことをうれしそうに話した。「行けてない場所に行くのが楽しみです。鉄道に乗る機会を増やして行ければと思っています」とリラックス方法も披露した。

4月からは名人戦と叡王戦が相次いで始まる。初登場となる名人戦は、棋王戦に続き渡辺明名人(38)との対戦。叡王戦は菅井竜也八段(30)が16日に挑戦権を獲得したばかりだ。タイトル戦で初めて振り飛車党を迎え撃つ。

「名人戦は持ち時間9時間(2日制)と一番長い対局ですし、その点を踏まえていい将棋にしたいです。まずは棋王戦を振り返って、名人戦に気持ちを向けて取り組んでいけたらと思います。菅井八段とは対抗形を中心としたシリーズになるでしょう。新鮮な感じもありますし、しっかり準備していければ」と気を引き締めた。