ローカル列車を紹介する「ぶらり鉄道」の第8回は、しなの鉄道「ろくもん」です。

しなの鉄道「ろくもん」は、軽井沢駅~長野駅、長野駅~軽井沢駅のそれぞれ片道74.4㌔約2時間を、車窓の景色をゆっくりながめつつ、おいしい食事も楽しめる観光列車です。時期によっては夕方の走行もあり、四季折々の楽しみ方が出来ます。

今回、冬の軽井沢から長野の区間を旅しました。

午前10時34分発。少し早めの午前9時に軽井沢に到着すると氷点下の寒さ。それでも山々は青白く雪化粧し、手すりの霜の結晶が光りすがすがしさがあります。

車掌さんの吹くほら貝の合図で乗り込みます、ろくもんは、長野県上田市ゆかりの武将・真田一族の家紋「六文銭」から命名。車両の色も真田幸村が戦で用いた「赤備え」(甲冑(かっちゅう)や武具を赤色にそろえる)から来ています。

3両編成の車両は、それぞれ特色があり、3号車は和風モダン。障子を閉めれば個室になり、この日は台湾からの家族が、おいしい食事と車窓を満喫していました。2号車は落ち着いたバーのような雰囲気もあるラウンジ風。こちらも食事が楽しめます。1号車は子どもたちが楽しめる「木のプール」(感染対策で現在休業)があり、対面席やソファ席で個人でもグループでも楽しめるようになっています。

走り始めると、右手にまるで白砂糖をかぶったケーキのような浅間山。沿線では、幾度となく地元の幼稚園児や保育園児が横断幕を掲げてかわいく手を振ってくれる光景になごみます。

停車駅もそれぞれ工夫がなされ、小諸駅では、疎開先であった縁で、永六輔氏の「上を向いて歩こう」が流れ、上田駅では真田氏ゆかりの剣舞が見られました。車掌さん駅員さんが乗客と一緒に写真を撮ったり、撮ってあげたりと、それらの光景を見ているだけでほっこり。あっという間の2時間でした。

地元を挙げてこの列車を見守り応援している温かさを感じる「ろくもん」。是非乗ってみてはいかがでしょうか。【撮影と文・浅見桂子】

 

【ぶらり鉄道 写真と動画一覧】はこちら>>