2023年度予算が28日、与党などの賛成多数で参院本会議で成立した。これを受けて、自民党内で早期の衆院解散に備える動きが強まってきた。

低迷していた各報道機関の支持率が上昇傾向に転じ、懸案だった日韓首脳会談やウクライナ訪問も終えて強気の岸田文雄首相が、6月21日の通常国会会期末前に解散に踏み切るとの見方があり、一部では「6月選挙」の臆測があるほか、永田町では「3・31解散、選挙は4月」など、真偽不明の情報も出回っている。

自民党の茂木敏充幹事長は28日、党本部で取材に応じ解散は「首相の専権事項」としながらも「いつ(解散の)判断があってもいいように準備を進める」と語った。梶山弘志幹事長代行も会見で「衆院は常在戦場」と口にした。

野党の選挙態勢が完全に整わない中で、自民党は候補者調整を急ピッチで進めている。これも早期の衆院解散に備えた動きとの見方があるが、一方では、野党にプレッシャーをかける狙いとみる向きも根強い。

4月に統一地方選や衆参補選という与野党の政治決戦が迫る中で、飛び交い始めた早期解散論。岸田首相は28日夜、23年度予算成立を受けて首相官邸で取材に応じた際、衆院解散・総選挙についての考えを問われ「今後、間違いなく取り組んでいかないといけない課題は、統一地方選、衆参の補欠選挙だと思っている。それと合わせて(さまざまな)先送りできない課題について取り組む。今はそれしか考えていない」と述べた。早期の衆院解散について、否定も肯定もしなかった。

岸田首相は前回2021年10月の衆院選の際に、当初の予想を大幅に前倒しして衆院解散を実施。首相就任から10日後に衆院を解散する「奇策」で周囲を驚かせたが、自民党を大勝に導いた。自身の政局勘には自信を持っているとされる岸田首相の解散戦略には今後、関心が注がれることになる。