藤井聡太竜王(王位・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が1日、史上最年少名人を獲得し、7冠となった。

「最年少名人&7冠 藤井聡太」と題し、きょう2日から2回にわたり、各界からの特別メッセージを掲載します。

第1回は師匠の杉本昌隆八段(54)です。小学1年で出会い、小学4年から師匠として成長を見守り続けてきました。「成長が速すぎる」と驚きとともに、「あと5年は真っすぐに成長する」と期待します。

   ◇   ◇   ◇

1612年(慶長17)、徳川家康が当時の第一人者、大橋宗桂(そうけい)に50石の俸禄(ほうろく=給料)を与えて将棋家元と認めた。これが名人制度の始まりといわれている。この日、藤井が歴史と伝統のある名人位を史上最年少20歳10カ月で獲得した。この若武者は将棋の神様に選ばれた「400年に1人の天才」なのか…。

杉本 そういう声が出てきてもおかしくない強さを示している。さすがに江戸時代の名人の「強さ」は分かりませんが、歴史上の時の名人と比べると、最年少記録という年齢の若さに驚く。過去の挑戦者を見たとき、ここまで強い挑戦者はいなかった。

名人に挑戦時、すでに6冠を保持していた。

杉本 年々の成長の速度が速すぎるので、数年前からNO・1に近い実力を持ち合わせていたのかもしれないですね。渡辺名人をもってしても、防衛が困難であったというのは、大きな時代のうねりを感じます。

杉本一門での研究会のとき、夕食のメニューで“長考”することはあっても、将棋への向き合い方は変わっていない。

杉本 前の自分より強くなることが目標で、目先の勝敗や記録には関心がない。序盤から納得がいくまで考え、定跡でも考え抜くことが強さの源でしょうね。常に自分の読みを信じ、それをベースにここまで進んできたのは間違いない。

私生活でも大好きな将棋が中心だ。

杉本 彼女? どうなんでしょうね。本人がその気になったときでいいんじゃないでしょうか。将棋が楽しくて仕方がないときに無理に恋愛をする必要もないですからね。

技術面では20代半ばまでが伸びのピークだとし、「あと5年は真っすぐ成長する」とした。【松浦隆司】