海中に沈んでいる英豪華客船タイタニック号の残骸を見るツアー中に消息不明となり、捜索によって深海で破片が発見された潜水艇「タイタン」について、映画「タイタニック」(1997年公開)を監督したジェームズ・キャメロン氏(68)が、タイタニック号が沈没した時と「共通点」があると、22日(現地時間)、米CNNなどのインタビューに答えた。

キャメロン氏は「どちらのケースも、リスクが見落とされている」と指摘。タイタニック号の船長は当時、「月の出ていない夜間、見通しの悪い夜にスピードをあげて前進した。日中の間に無線で、近くに氷山があることを連絡を受けていたにもかかわらず警告を無視した」ことで、悲劇が起きたと指摘した。

その上で「今回も、海洋学者約30人が(潜水艇の運航会社の)『オーシャンゲート』社に書簡を送り(現状のままでは)悲劇が起きることを警告していた」とも指摘。危険性への警告が結果的に考慮されなかった可能性があることが、悲劇につながったのではないかとの見方を示した。

キャメロン監督は潜水のベテランとしても知られ、1人乗りの潜水艇によるマリアナ海溝最深部への航行を成功させたこともある。映画「タイタニック」は俳優レオナルド・ディカプリオ主演で、世界中で大ヒットした。

米沿岸警備隊は22日(日本時間23日未明)、タイタニック号の残骸近くの海底で「タイタン」の破片が見つかったと発表した。強い水圧でつぶれたとみられ、乗っていた5人の生存は「絶望的だ」とし、ツアー運営会社も全員が死亡したとの見方を示した。