武装反乱を起こしたロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏(62)が24日(現地時間)、SNSに投稿した音声メッセージで、部隊の首都モスクワへの進軍を停止すると突如発表したことが、世界に波紋を広げている。

この発表を受け、インターネット上では「御所巻(ごしょまき)」なる言葉がトレンドワードとなった。「御所巻」とは、室町時代に、大名たちが室町幕府の御所を取り囲んで幕府や将軍に自身の要求や異議を申し立てたとされる動きのこと。1349年に、将軍足利尊氏の側近だった高師直(こうの・もろなお)が御所を取り囲んで、自身が対立していた尊氏の弟、足利直義やその一派らの追放を求めて直訴し、「観応の擾乱(かんのうのじょうらん)」のきっかけになったとされる動きなどを指すといわれている。

今回、クーデターにも見える動きでモスクワを目指して進軍していたプリゴジン氏が、水面下では自身が不利にならないような交渉や要求を、プーチン政権側にしていたのではないかとの見方。ネット上では「朝起きたら御所巻になっとる」「御所巻がトレンド入りする令和」「結局、モスクワで御所巻が起きただけということなのか」などのつぶやきが多数。室町時代で展開された政治的謀略をほうふつとさせる動きで、ワグネルの武装反乱が終わるというまさかの展開に、驚きの声が相次いだ。

プリゴジン氏は声明で、進軍停止の理由を「我々は正義の行進を始め、兵士たちの血を流すことなく、24時間でモスクワから200キロ以内まで到達した。ロシア人の血が流れることへの責任を自覚し、部隊を方向転換させ、野営地に戻る」などと主張した。