石油元売り最大手ENEOS(エネオス)ホールディングスは19日、斉藤猛社長を同日付で解任したと発表した。懇親の場で酒に酔い、同席した女性に抱きつく不適切行為があったという。同社では昨年も、当時の杉森務会長が飲食店の女性従業員に対する不適切行為で辞任しており、経営トップが2代連続で女性への不適切行為で辞める異例の事態となった。

同社HPによると、11月末にコンプライアンス窓口に内部通報があり発覚した。同社は「杉森氏による不適切行為を踏まえ、人権尊重・コンプライアンス徹底に関する取り組みの強化・再徹底を決議。役員向けハラスメント研修などに取り組んできた。取り組みの陣頭指揮を執るべき立場にある斉藤氏の不適切行為は到底容認しがたく、当社代表取締役社長として相応しくないものと判断した」と説明。斉藤氏に対し「代表取締役社長および社長執行役員の解任(取締役については辞任勧告)」の処分を決議。月額報酬、賞与、株式報酬の一部返還・没収を実施し、この件の対応に要した弁護士費用を含む一切の費用についても別途請求するとした。

懇親の場に同席していた常務執行役員の須永耕太郎氏についても「当該女性に対し、性別役割分担意識を窺わせるような不適切発言をしたことが認められた。さらに懇親の場の事務局責任者でありながら、斉藤氏による度を越した飲酒、不適切行為の発生という痛恨の事態を生ぜしめたことに対する結果責任があるものと判断した」とし、月額報酬30%を3カ月間減額の処分を課した。

また、やはり同席していた代表取締役副社長執行役員の谷田部靖氏についても「代表権を持って斉藤氏とともに当社グループの経営に当たり、当社コンプライアンス部門のトップとして、人権尊重・コンプライアンスの取り組みを推進すべき立場であるにもかかわらず、斉藤氏による不適切行為を生ぜしめたことに対する結果責任がある」として辞任を勧告。谷田部氏は辞任した。