自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、安倍派(清和政策研究会=解散決定)でキックバック(還流)が再開された経緯に、かつて清和会の会長を務め今も影響力が指摘される森喜朗元首相(86)の関与があったと報じられた問題が28日、参院予算委員会で取り上げられた。

質問に立った立憲民主党の辻元清美参院議員が指摘した。

辻元氏が「(自民党の安倍派幹部4人への)聞き取り調査で、4人の一部から、再開の判断に森元総理が関与したと新証言が出たと報じられている。これは事実か」と、岸田文雄首相の認識をただした。首相は「報道は承知しているが、政治責任、道義的責任を明らかにするために必要な調査を行っている。今の段階で内容を明らかにすることは控えている」と否定も肯定もせずに明言を避けた。

辻元氏は、前日27日の同予算委員会で、首相が森氏の関与は一切認められなかったと発言したとして「ここで同じ答弁をできますか」と首相の認識を問うたが、首相は「自民党としては公式に、森元総理が関わっているという発言を把握していないという現状においては変わりはない」「追加の聞き取り内容は明らかにしない。現時点で公表するものはない」とあやふやな答弁を繰り返した。

辻元氏は「昨日の(聞き取りした)2人から出たのではないか」と、27日に聞き取り対象となった西村康稔前経産相か世耕弘成前参院幹事長のどちらかが証言したのではないかとただし「私は、キックバックの判断に森元総理は関与していたという話は、昨日出ていると思う。相当固い筋から聞いた」と踏み込んだ。

「もし握りつぶしたら(聴取をした)茂木幹事長、森山総務会長、岸田首相の責任になる。もし出ていたら明らかにすると約束を」と首相に迫り、安倍派幹部4人は、衆参の政治倫理審査会(政倫審)では森氏の関与に言及していなかったことから、辻元氏は「もし覆ったとしたら、4人はうそをついていたことになる」と指摘した。

岸田首相は「内容については今の時点では申し上げないと再三申し上げている」などとして辻元氏の指摘には答えず、審議がたびたびストップした。