高市早苗首相は15日、就任から1カ月もたたずに更迭に追い込まれた簗和生農相の後任に、武部新(あらた)氏(56=衆院北海道12区)の起用を表明した。当選6回で初入閣の武部氏は、自民党農林部会長や農水副大臣を歴任。父親は、小泉純一郎首相のもとで自民党幹事長を務め、「偉大なるイエスマン」といわれた武部勤氏(85)で、親子二代での農相就任となった。

高市首相には「(農林水産行政が)全部頭に入っているはずだからしっかりやってほしい」と言われたといい、「これまで培ってきたものを出し切り、全力で取り組んでいきたい」と抱負を述べた。

自身を選挙で支持しなかった地元自治体への「道路予算カット発言」や公職選挙法に抵触しかねないシャトルバス問題など、あり得ない事態が次々明るみに出た「簗ショック」に、政府・自民党内の衝撃は収まらない。高市首相が選挙応援で「私の大事なやなちゃん」と述べるなど、思い入れの強い簗氏の更迭判断が遅れたこともあり、党内ではこれまでくすぶっていた首相への批判や不満も噴き出しつつある。それでも、今回の人選には「適材適所」と評価の声が多い。前日は憔悴(しょうすい)しきった様子だった高市首相も「即戦力で活躍してもらえる」と穏やかな表情で期待を示した。

武部氏や簗氏ら自民党の2012年初当選組は、不祥事が相次ぎ「魔の○回生」と呼ばれた期。「簗ショック」の中で緊急登板することになった武部氏は、台風や長雨による作物被害や米国産生鮮ジャガイモ輸入解禁などの課題に加え、簗氏の言動で生じた不信感の払拭(ふっしょく)にも努める必要がある。武部氏は予算カット発言を「あってはならない」と批判。「政治家の発言が行政に対して影響を及ぼすことはない」と述べ、「国民に信頼される農林水産行政を進めたい」と、就任前から釈明に追われた。【中山知子】