28日付西日本版極ウマ紙面
28日付西日本版極ウマ紙面

競馬記者になってもうすぐ1カ月の大阪・下村琴葉記者が中京競馬場へ取材に行った。初めての競馬場に心躍る中、入社後初の本命馬ドウデュースがダービーを制し、大興奮。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は、ルーキー記者の「初ダービー&競馬場体験記」だ。

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一生忘れることのない日本ダービーとなった。土曜紙面で入社後初めての予想を披露し、「本命はドウデュースにします」。こんな最高の結末になるとは。

中京競馬場のターフビジョンでダービーを見届けた。熱気あふれる場内でファンの声を聞いてみると、「ダービーの日だから(競馬場に)来ました」という観客も多く、“リモート”でもその盛り上がりが劣ることはなかった。ファンファーレでの手拍子、思わずもれてしまう声援。記者席にも緊張感が漂い、先輩方もなんだかソワソワしていた気がする。レース前から他の重賞とは違う、日本ダービーの「特別感」に身震いがした。

レース中は必死にオレンジ帽を探し、息をのんで見守った。ドウデュースがイクイノックスとの一騎打ちを制し、武豊騎手がガッツポーズ。興奮で真っ白になった頭に浮かんだのは、ただ「すごい」の一言だけだった。友道師は中間の取材で「同世代に7000頭以上いる中の18頭で一生に1度。出るだけでもすごい」と話してくれた。今回で現役最多のダービー3勝目。まさに偉業だ。

手の震えが止まらない中、大江助手の話を思い出した。「(ドウデュースが)いいスタートを切れるように持っていくのが僕たちの仕事」。勝利をつかんだのは馬と騎手だけではない。馬が生まれる前からレースでゴールを切るまでに、どれだけのドラマがあるだろうか。馬を送り出す多くの人の努力や情熱。「競馬」の魅力はそこにもあると思う。

ダービーの興奮と感動で忘れかけていたが、私にとって今回が人生初の競馬場だった。さまざまな施設がある中で印象に残ったのは「かちうまビュー」。レースから引き揚げてきた馬や騎手をガラス越しに間近で見ることができる。荒い息遣い、汗をびっしょりとかき、血管がびっしりと浮き出ている馬体は、一層の迫力がある。馬具を外す様子もなかなか貴重なシーン。また、レースを終えた直後の騎手の表情を見ても面白い。私も検量室前での取材を経験して、思わず見入ってしまった。現場の熱、臨場感が詰まった記事を皆様にお届けできるよう、これから頑張っていきたい。

初めて中京競馬場へ取材に行った下村記者
初めて中京競馬場へ取材に行った下村記者

◆下村琴葉(しもむら・ことは)2000年(平12)、東京都生まれ。学習院大卒。学生時代は日本中世史ゼミに所属し、『吾妻鏡』を講読していた。趣味は野球観戦。今年4月に日刊スポーツ新聞西日本入社、5月にレース部配属。馬のメンコを見るのが好き。

【下村琴葉】(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)