7番人気ペイシャエス(牡、小西)が直線の激戦を首差抜け出し、JRA重賞初挑戦を勝利で飾った。

従来より1列下げて脚をため、直線は内から馬群を割って勝負根性を発揮した。勝ち時計は1分35秒2。次走は3歳ダート王を決めるジャパンダートダービー(Jpn1、ダート2000メートル、7月13日=大井)が濃厚だ。2着9番人気セキフウ、3着8番人気バトルクライが入り、3連単62万4210円など波乱となった。

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府中の直線残り200メートル。内からペイシャエスが馬群を割って抜け出す。先行勢の粘り、後方勢の追い込みで多数の馬が入り乱れた。7着まで0秒2差の大激戦。それでも鞍上の菅原明騎手は冷静だった。「いい脚でした。手応えが良かったので、あとは進路を探すだけでした。勝ちはしっかり確認できた。馬は本当に強いと思っていたので」。この日は父の日。パートナーの父エスポワールシチーに、産駒のべ9頭目の出走でJRA重賞初勝利をプレゼントした。

位置取りをいつもより1列下げた。2走前の1800メートル戦は2番手追走から1着。1600メートルに距離短縮した前走も同じ競馬を試して5着に敗れた。デビュー4年目の関東のホープは同じ轍(てつ)を踏まない。馬の能力を信頼して、今回は好位に控えて脚をためた。「1600メートルは忙しいと思っていたので、少し脚をためるイメージで。狙い通りの位置で運べました」と会心の騎乗を振り返った。

出世レースを制した。過去10年で勝ち馬7頭が後にJRA・G1またはJpn1を制して高みに上っている。力走を見届けた小西師は「強い馬がいる中でしのいでくれた。1800メートルで折り合いがつく馬だし、2000メートルを試してみるのもいい。中間の馬の様子次第ですが」と、ジャパンダートダービーを視野に入れた。鞍上も「出世レースを勝ててうれしい。この馬とともに成長して、大きいところを目指していきたい」と意気込む。全国の猛者に挑戦状をたたきつけ、真の3歳ダート王へ。今年はペイシャエスを中心に3歳ダート戦線が始まる。【舟元祐二】

◆ペイシャエス ▽父 エスポワールシチー▽母 リサプシュケ(ワイルドラッシュ)▽牡3▽馬主 北所直人▽調教師 小西一男(美浦)▽生産者 高村伸一(北海道様似町)▽戦績 7戦3勝▽総収得賞金 5836万4000円▽馬名の由来 冠名+父名より

◆「ペ」で始まる馬のJRA重賞制覇 ペイシャエスで史上7頭目。その他6頭はペイザバトラー、ペガサス、ペインテドブラック、ペールギュント、ペルーサ、ペルシアンナイト。