デビュー2年目の女性ジョッキー、古川奈穂騎手(21=矢作)が、北海道で武者修行に励んでいる。函館最終週の先週土曜6Rをバレストラで制し、昨年の7勝を上回る自己最多のJRA年間8勝目をマーク。今週から開幕する札幌にも初めて滞在し、小倉で活躍中の後輩今村聖奈騎手に負けじと、さらなる飛躍を目指す。

今村騎手の重賞制覇に沸いた今月3日。古川奈騎手は、函館競馬場の検量室のモニターでレースを見ていた。「(1着で)ゴールした時は、すごいなと思ったんですけど、悔しい気持ち、負けてられないなという気持ちもありました」。栗東での取材時よりも、凜(りん)とした表情で当時の心境を話した。「負けないようにレベルアップしないと、です」。引き続き北海道で修行し、レベルアップを図る。

拠点は今週から札幌に変わるが、やることは変わらない。函館開催開始と同時に、池添騎手、横山武騎手と同じトレーナー指導のもと、週1回トレーニングに励む。

「騎乗フォーム、追い方などを根本から見直しています。他の日は自主トレですね。レース後にも先輩ジョッキーから騎乗についてアドバイスもいただきますし、(滞在は)いい経験になっています」

多くの馬に調教でまたがり、美浦の関係者とも交流する。「以前までは競馬学校生の時に北海道に滞在することができたんですけど、コロナ禍でそれができませんでした。この滞在で美浦の厩舎さんとつながりを増やせるように、と思っています」。函館で3勝を挙げ、早くもキャリアハイとなるJRA年間8勝目をマーク。「まだまだです」と話すが、徐々に成果は表れている。

初めての札幌競馬場でさらに勝利を積み重ねるため、これまで以上に気を引き締める。

「調教で乗ることができるので、コースの特徴など把握できますし、やってきたことを生かして、いい流れでこの夏、そして秋競馬につなげていければと思っています」

1年前の夏は、肩のけがで馬に乗ることさえできなかった。悔しさをばねに多くの経験を積み、成長した姿を見せるつもりだ。【藤本真育】

◆古川奈穂(ふるかわ・なほ)2000年(平12)9月13日、東京都生まれ。栗東・矢作厩舎所属で21年デビュー。同年3月13日阪神6Rのバスラットレオンで初勝利を挙げて以降4週連続勝利を記録。5月1日から左肩の違和感のため、約5カ月休養。今年は現在8勝で、昨年の7勝を上回る。JRA通算257戦15勝。154・6センチ、44・8キロ。