北の女王を死守した。テルツェット(牝5、和田正)が2着と鼻差の激戦を制し、オースミハルカ(03、04年)、アイムユアーズ(12、13年)に次ぐ史上3頭目の連覇を達成した。勝ち時計は1分47秒8。

1番枠を生かして最内を突き、重賞3勝目をつかんだ。鞍上の池添謙一騎手(43)は12年以来、保田隆芳元騎手に並ぶ歴代最多タイの4勝目を挙げた。

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人馬の意地だ。テルツェットがド根性でティアラを守った。終始内柵を沿い、直線も逃げ馬が空けた内1頭分の余地をついた。ゴール手前で先頭に立ち、外から伸びたサトノセシルを鼻面分だけ退けた。「内枠なのでどこかに突っ込もうと思っていました」とピンかパーかの勝負をかけた池添騎手の思いに応えた。「よく狭いところを抜けてきてくれました。差してくれ、と思いながらゴールして帰ってきたら勝っていたので、すごくうれしいです」と、初コンビのパートナーに感謝した。

北の大地がお気に入りだ。昨年の当レースは函館での変則開催。レース直前から降り出した豪雨を切り裂きながら馬群を縫い、北海道シリーズ初参戦で初タイトルを得た。今年は札幌開催。1年前と打って変わり、汗がにじむ快晴の下でもきっちりと態勢を整えた。和田正師は「小柄ですが体を大きく見せていましたし状態はすごくよかったです」と滞在効果を口にする。01年ヤマカツスズラン、11年アヴェンチュラ、12年アイムユアーズと北の女王を生み出し続ける鞍上も、鬼に金棒だった。

芝上で輝ける時間は残り少ない。現在5歳で、クラブの規定により来年3月末までに現役を退くことが決まっている。(有)シルクレーシングの米本昌史代表は「最後の秋になるので、もうひと花咲かせてあげたいですね」と話し、G1を含む重賞戦線での活躍を願う。最高の夏を過ごした北の女王が、これからもプライドを示し続ける。【桑原幹久】

◆テルツェット ▽父 ディープインパクト▽母 ラッドルチェンド(デインヒルダンサー)▽牝5▽馬主 (有)シルクレーシング▽調教師 和田正一郎(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 12戦7勝▽総収得賞金 1億7256万1000円▽主な勝ち鞍 21年ダービー卿CT(G3)クイーンS(G3)▽馬名の由来 三重奏、三重唱(音楽用語)。本馬が母の3番子より連想