欧州屈指の名マイラーで、中距離でもトップの能力を証明したバーイード(牡4、父シーザスターズ)陣営が発表したG1凱旋門賞(10月2日、パリロンシャン、芝2400メートル)参戦プランについて、フランスの「パリターフ」と英国の「レーシングポスト」が月曜の紙面で報じました。

記事は(バーイードの)引退レースが、パリロンシャンかアスコット(10月15日のG1英チャンピオンS、芝1990メートル)になること、そして凱旋門賞出走は「適切な馬場が条件」というW・ハガス調教師のコメントを紹介。レーシングポスト紙は過去10年の凱旋門賞では6度がソフト(やや重)より悪い馬場で行われた事実を示し、暗に出走の可能性が、まだ五分五分であることを述べています。

10戦10勝のバーイードが凱旋門賞出走となれば、最有力候補になることは間違いありませんが、気になるのは2400メートルの実戦経験がないことです。

近年の凱旋門賞で2400メートル初体験の馬が勝ったのは、90年のソーマレズだけ。G1英インターナショナルS(芝2050メートル)が初の中距離戦だったバーイードにとって、2400メートル戦は「未知」の分野であることに間違いありませんが、陣営を前向きにさせているのが「血統」の裏付けです。

父シーザスターズは現役時に英ダービーや凱旋門賞を制し、産駒の多くは2400メートルに実績があります。バーイードの全兄フクムは、6月のG1コロネーションC(芝2410メートル)を制しています。

凱旋門賞に登録がないバーイードは、本番4日前の9月28日に12万ユーロ(約1680万円)の追加登録料を支払わなければなりません。当該週の天気が、今年の凱旋門賞の行方を大きく左右することになりそうです。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)