秋競馬の開幕を告げるサマースプリントシリーズ最終第6戦・セントウルS(G2、芝1200メートル、11日=中京、1着馬にスプリンターズS優先出走権)で、アイドルホースのメイケイエール(牝4、武英)が秋初戦を迎える。

馬体は春よりボリュームアップし、精神的にも成長。目標とするスプリンターズS(G1、芝1200メートル、10月2日=中山)へ向け、パワーアップした走りを見せそうだ。

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流麗な体に品のある流星。競馬界屈指の人気を誇るメイケイエールが、さらにパワーアップして帰ってきた。「今、体重は490キロ。帰厩時のふっくらした体をずっと維持しています」と担当の吉田助手。快勝した前走の京王杯SC時が470キロで、20キロも増えたことになるが、体に緩みはなく特長である皮膚の薄さも相変わらずだ。「いい成長をしてくれています。体にボリュームが出た」と理想的な形で4歳秋を迎えた。

身体能力の高さには早くから定評があった。2歳時の小倉2歳SやファンタジーSは強烈に引っ掛かりながら快勝。3歳春には桜花賞トライアルのチューリップ賞(1着同着)を制した。

引っ掛かるとは、馬が騎乗者の指示を無視して加速することで、よく「ブレーキとアクセルを同時に踏むようなもの」とたとえられる。当然、エネルギーの消耗が激しい。それでも勝ってきたのがエールのすごさであり魅力だったが、G1になるとゴール前で苦しくなることが多かった。

今年になって折り合い面が改善し、シルクロードSと京王杯SCを制覇。それでも、完璧なレースはしていない。前走後、池添騎手は「折り合い面でとてもしんどい思いをしました」と話している。

しっかり折り合ったら、どれだけ強いレースをするのか。そんな未知の魅力が彼女にはあるが、今秋はそんな姿を見られるかもしれない。「とても落ち着きがある」(同助手)うえに、8月31日の1週前追いでも以前ほど激しくかかることはなかった。騎乗した荻野助手は「ピリピリした感じもない」と話す。レースのペースなら折り合う可能性も十分にある。

今秋の目標であるスプリンターズSへ向けて大事な一戦。まずここで進化を見せる。【岡本光男】

◆人気No.1 メイケイエールは8月18日に発表された京都競馬場主催の「アイドルホースオーディション2022」で見事、1位に選出。ぬいぐるみ化も決定した。今月16日には株式会社ガイドワークスから写真集も発売される。同馬担当の吉田助手は「これだけ注目してもらえると、緊張感がありますね」と笑顔で話す。秋初戦のセントウルSを勝ち、さらにファンを喜ばせるか。