復活VへオールOK! 3冠牝馬デアリングタクト(牝5、杉山晴)が2年ぶりの白星を狙う。日曜中山のオールカマー(G2、芝2200メートル、25日、1着馬に天皇賞・秋優先出走権)で始動。3カ月の休養明けながら、前走の宝塚記念(3着)以上の状態をうかがわせる。19日月曜のセントライト記念をガイアフォースで制した松山騎手&杉山晴厩舎が、同じ中山芝2200メートルのG2で再び主役を張る。

台風一過の曇り空からのぞいた朝日を浴び、青鹿毛の馬体が黒光りした。申請済みの重賞出走馬のみが馬場入り可能な変則の全休日。人馬まばらな坂路をデアリングタクトがキャンターで悠然と駆け上がった。下馬した池水助手は「順調に調整できて宝塚記念より良くなっている。ハミにもたれるところがなくなって、体を起こしていいフォームで走れている。少しずつ戻ってきている感じ」と前走以上の気配を伝えた。

史上初の無敗の3冠牝馬となった20年秋華賞を最後に、長らく勝利から遠ざかっている。昨年春からは右前脚繋靱帯(けいじんたい)炎で1年もの休養を余儀なくされた。それでも徐々に輝きを取り戻しつつある。前走の宝塚記念で3着に好走。先週の追い切りでは馬なりのままCウッド6ハロン78秒6の自己ベストを出し、またがった松山騎手も「だいぶ戻ってきました。動きには満足」と手応えを口にしていた。

復活を待つファンは多い。人気ゲーム「ウマ娘」にも現役馬として初めて登場することが決定。厩舎には無事を願うお守りが次々と届けられているという。「けがをする前より多いですね」と感謝する池水助手は「脚元も気にならず思った通りの調整ができている。何やかんやで2年も勝ってないので勝ちたいです」と意気込む。月曜には厩舎も鞍上も同じ後輩ガイアフォースがセントライト記念を勝ったばかり。くしくも同じ舞台で、漆黒のヒロインが待望のスポットライトを浴びる。【太田尚樹】

◆松山騎手×杉山晴厩舎 通算124戦で【19 18 19 68】、勝率15・3%、複勝率45・2%と好成績を残している。重賞勝利はデアリングタクトのG1・3勝とガイアフォースのセントライト記念の計4勝。開業3年目の18年までは6戦だけだったが、デアリングがデビューした19年からコンビが増加した。今年は19戦で【4 1 5 9】、勝率21・1%、複勝率52・6%とアベレージを上げている。