秋の季節に魅力的なバラが満開だ! 3番人気スタニングローズ(高野)が、ラスト1冠を鮮やかに奪取した。

5番手前後の好位を確保し、直線で力強く抜け出した。鞍上の坂井瑠星騎手(25=矢作)は、デビュー7年目で待望のJRA・G1初勝利。高野友和調教師(46)は、2着ナミュールとの僚馬ワンツーを決めた。史上7頭目の牝馬3冠を狙ったスターズオンアース(高柳瑞)は3着に敗れた。

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ステッキを持った左手でスタンドに人さし指を掲げ、力強くガッツボーズを見せた。「もう最高でした。夢に見たG1の舞台でした」。黄色い声援も飛ぶ中、スタニングローズと坂井騎手が栄冠の余韻に浸った。

好スタートを切り、アートハウスの後ろの好位についた。残り200メートルのところで先頭の2頭と並ぶと、鞍上のゴーサインに反応。「前回と比べて反応が全然違いましたし、これで負けたら仕方ないな」。絶好の手応えで加速し、2冠馬スターズオンアース、僚馬ナミュールの猛追も振り切った。

「やりました!」と、笑顔で引き上げてきた25歳。2日のスプリンターズSでは同期の荻野極騎手がG1初勝利を飾り「刺激になりましたし、今日は勝つしかないなと思っていた」。クールな表情の裏で、十分過ぎる気合が入っていた。世界への意識が高く、今年もドバイやフランスなどで騎乗。「緊張しなくなりました」と心の余裕も出てきたという。海外遠征で鍛えたメンタルで、完璧なエスコートに成功した。

スタニングローズは、“バラ一族”の血を引く。生産者ノーザンファームに従事した経験を持つ高野師だが、当時の牧場を支えていた牝馬の1頭が、4代母ローザネイだった。「とてもうれしいです。(ローザネイの)直系の子孫で、まさか私がG1勝たせていただける日が来るとは」。祖母ローズバドが01年2着に泣いた秋華賞のタイトル。師の喜びもあふれた。

G1・4勝目も牝馬でつかんだ師は「1歳の時から能力が高い雰囲気を表に出していた」という。坂井騎手も「伸びしろがある」と今後への期待も膨らむ。秋に大きく開花した素質馬がG1の勲章を輝かせ、さらなる高根を目指す。【下村琴葉】

◆スタニングローズ ▽父 キングカメハメハ▽母 ローザブランカ(クロフネ)▽牝3▽馬主 (有)サンデーレーシング▽調教師 高野友和(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 10戦5勝▽総収得賞金 2億8586万2000円▽主な勝ち鞍 22年フラワーC(G3)紫苑S(G3)▽馬名の由来 魅力的なバラ