堂々の復活だ。昨年のダービー馬ドウデュース(牡4、友道)が3馬身半差のVで、ダービー以来の勝利を挙げた。レジェンド武豊騎手(53)に導かれ、後方からまくり気味に進出して最後は独走。凱旋門賞の19着大敗を振り払った。次戦のドバイターフ(G1、芝1800メートル、3月25日=メイダン)での世界制覇へ、鞍上は「自信を持って行ける」と確信を得た。

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どうだ! これぞダービー馬ドウデュースの走りだ。気温17度の春めく日差しを浴びた4コーナー。大外から白とグレーの勝負服がポジションを上げる。手綱はほとんど動かない。文字通り抜群の瞬発力で他馬を置き去りにして、残り200メートルで先頭へ。もはや勝負ありだ。2万人超の拍手に包まれ、ゴールまで独走した。検量室前へ引き揚げてきた武豊騎手は、右手を軽く握って復活Vを喜んだ。

「ドウデュースらしい走りができた。状態はすごく良かった。休み明けなので折り合いだけ気をつけた。向正面で少し行きたがったけど、それだけ今日は元気が良かった。早く全力で走りたかったんだと思う」

前向きすぎるほどの覇気は、復調の表れでもあった。昨秋の凱旋門賞では発馬から数秒で敗北を覚悟したという。「10メートルで『駄目だ』と思った。進み方や雰囲気が違った」と振り返る。19着大敗から4カ月。候補に挙がったジャパンCも見送って、今年にかけた。友道師は「体の張りも全然違ったし、調教でも不安はなかったけど、フランスの2戦がふがいなかったので…。ホッとしました」と胸をなで下ろした。

次戦のドバイターフでは今度こそ世界制覇を目指す。コース設定も申し分ない。自身の海外G1・10勝目へ、レジェンドの両手には確信に近い手応えがある。

「1800メートルならなおさら自信を持って行ける。右回りで(パフォーマンスが)落ちるわけではないけど、右手前が好きなので左回りの方がいい。もう1度『最強』といわれる結果を出していきたい」

衝撃的な大敗にも動じず、世代の頂点を極めた王者が輝きを取り戻した。目指すは日本最強、いや、世界最強だ。挫折を乗り越え、堂々と王道を駆け抜けていく。【太田尚樹】

◆ドウデュース▽父 ハーツクライ▽母 ダストアンドダイヤモンズ(ヴィンディケイション)▽牡4▽馬主 (株)キーファーズ▽調教師 友道康夫(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 9戦5勝(うち海外2戦0勝)▽総収得賞金 4億5004万7400円(同118万6400円)▽主な勝ち鞍 21年朝日杯FS、22年ダービー(以上G1)▽馬名の由来 する+テニス用語(勝利目前の意味)