25日深夜にメイダン競馬場でドバイ国際競走が行われ、日本馬は史上最多27頭が参戦する。今日21日から「侍ホースマン」として注目の「人」を3回紹介する。第1回は吉田豊騎手(47)。世界に衝撃を与えたサウジCに続きパンサラッサ(牡6、矢作)に騎乗し、ドバイワールドC(G1、ダート2000メートル)で海外G1連勝に挑む。

やることはひとつ。吉田豊騎手は何度も繰り返した。「パンサの競馬をしたい」。1年ぶりにパンサラッサとドバイの地に戻ってきた。芝だろうが、ダートだろうが、腹は決めている。逃げて、逃げて、逃げ粘る。持ち味を出し切ることだけに頭をひねる。

当初はドバイターフ連覇に向けた臨戦が陣営によって表明されていた。世界最高賞金レースのサウジC制覇でドバイワールドCへシフトチェンジ。前走はキャリア2度目のダートながら、国内の砂とは違う馬場でも結果を出した。だから言える。「自分の競馬をやり切るかが一番。馬場がどうのこうのより、そこが大事」。馬場適性を超越した逃げ馬。その走りは侍のように潔い。型を持っているからこそ、迷いはない。

4着以上でアーモンドアイの持つ日本馬の最多獲得賞金(19億1526万3900円)を更新する。「そこは全然…」と、勝負だけに目を向ける。サウジC優勝時は馬上でのインタビューに日本語で応じた。「日本語でいいと言ってくれていましたしね。今回もそういう風になればいいと思う」。昨年のターフは長い写真判定後の同着V。レース直後のインタビューはなかった。単独優勝を果たし、ドバイでも心からの感謝をマイクに乗せる思いだ。

英ブックメーカーの評価は20日時点で3番手。「受けて立つという感じではないですね。相手関係よりも、同型がいるかとかの方が気になる」。ドバイの砂王をかけたコーナー4回の舞台は、1角までに猛烈なポジション争いが起きる。枠順発表は明日22日。いかに先手を取るか、本番まで何度となくシミュレーションを重ねる。【松田直樹】