昨年の年度代表馬イクイノックス(牡4、木村)が逃げ切りで圧勝した。他の馬が行かないとみるとルメール騎手はすっと先頭に立った。デビュー以来初めての逃げる形だが折り合いはばっちり。直線を向いても手応えは十分で、ぐんぐんと後続を置き去りに。残り100メートルではルメール騎手が後ろを振り返る余裕もあった。初めての海外競馬挑戦であっさりとG1タイトルを獲得。日本のみならず、世界のホースマンにイクイノックスの名前が知れ渡ることになった。

ルメール騎手は「すばらしい馬。どんどん良くなっています。今回はフレッシュでしたし、自分の馬が一番強いと思っていただける競馬をしたかった。(陣営が)よく仕上げてくれました。残念ながら(06年に勝った)ハーツクライは2週間前に亡くなってしまいました。ハーツクライから第2の騎手人生が始まりました。(イクイノックスは)どんどん自分の中のランキングが上がっています。今回の相手でこんな競馬ができてうれしく思います」と胸を張った。

ドバイシーマクラシックは06年以来、17年ぶりの勝利。その時にコンビを組んでいたのは、今月9日に急死したハーツクライ。日本での初G1勝利(05年有馬記念)をもたらし、自分に自信を与えてくれた存在。それだけに「勝てば彼にささげる勝利になる」と、力が入っていた。そのハーツクライの時と同じく、逃げ戦法での優勝。ルメールがまた、日本の競馬界の歴史をつくった。

連覇を狙ったシャフリヤール(牡5、藤原英)は5着、紅一点ウインマリリン(牝6、手塚)は6着だった。