地方馬として初めて米国に遠征した大井のマンダリンヒーロー(牡、藤田)は2着だった。今オフにサンタアニタで騎乗しているカナダの木村和士騎手を鞍上に迎え、4番人気で出走。道中5番手から前を追ったが、惜しくも鼻差で捉え切れなかった。06年シンガポール航空国際Cを制した北海道のコスモバルクに続く2度目の、ダートでは初めての地方馬による海外G1制覇まで、まさにあと1歩だった。

スタートを決め、4角で内を突くなど、巧みな騎乗で導いた木村騎手は「アメリカの競馬はテンが速いので、しっかり出していくことを意識した。朝はなかなかハミを取りにいかず大丈夫かなと思っていたが、返し馬のときは自分からハミを取ってくれて、ゲートの出も悪くなくて、すんなりと1、2番人気の後ろに付けることができ、様子をうかがいながらスムーズに進めることができた。直線を向いてきれいに内を確保できたが、少し詰まったところがあり、そこでプレッシャーがなければもう少しスムーズに伸びたかなとも思う。(ケンタッキー)ダービーは距離も延びるので楽しみ」。

藤田師は「どこかで内に入れたいと思っていて、いいタイミングで木村騎手が入れてくれた。最後の直線は興奮して覚えていない。オーナーからもケンタッキーダービーを目指しましょうと言っていただけた。ケンタッキーダービーに向かいたい」とコメント。前走の雲取賞2着に続く惜敗で6戦4勝となったが、初めて大井以外で走り、左回りも初めて。5月6日チャーチルダウンズのケンタッキーダービー(G1、ダート2000メートル)に向け、期待の膨らむ内容だった。

制したのは前走サンフェリペS1着で断然の1番人気に推されたプラクティカルムーブ(牡、T・ヤクティーン)。内々の4番手から向正面で2番手に上がり、4角で先に抜け出して後続の追い上げを封じた。勝ちタイムは1分48秒69。これで7戦4勝とした同馬は昨年のロスアラミトスフューチュリティから重賞3連勝でG1初制覇。ケンタッキーダービーの前売りでも上位人気になっている。

直線で2頭と競り合った3番人気スキナー(牡、J・シレフス)が2着から半馬身差の3着に入り、2番人気ナショナルトレジャー(牡、T・ヤクティーン)は3着から2馬身1/4差の4着。前走サンフェリペS2着のゴーロケットライド(牡、R・マンデラ)は出走を取り消した。

◆サンタアニタダービー 1935年に創設。米カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で、毎年4月に開催される。現在、この時期の米西海岸では唯一の3歳G1。ケンタッキーダービーへの前哨戦に位置付けされ、過去には78年にアファームド、18年にジャスティファイが優勝して後の米3冠馬となった。その他では89年にサンデーサイレンス、92年にエーピーインディが制している。