コントレイルの馬主だった前田晋二氏がコントレイル産駒バイバイベイビーの2023(牡)を3億3000万円で落札した。

生産者は05年の天皇賞・春を制したスズカマンボ、15年のチャンピオンズCを制したサンビスタなどを生産してきた「グランド牧場」。これまでセレクトセールの高額落札馬はノーザンファームや社台ファームの社台グループ生産馬が中心だったが、日高地方にある社台グループ以外の老舗牧場から3億円を超える高額落札馬の誕生となった。

バイバイベイビーは父がガリレオ。母リメンバーホエンは10年の英オークス2着(1着スノーフェアリー)という血統で、現役時代に18年英オークス3着、愛オークス4着の成績を残した馬。アイルランドのエイダン・オブライエン調教師が管理し、全弟サーペンタインは20年に英ダービー馬に輝いている。他にも近親には凱旋門賞馬ディラントーマスがいて、スケールの大きな血統馬。新種牡馬コントレイルとの間に生まれた牡馬に3億円を超える値がついたのも納得できる。

これだけの血統を持った繁殖牝馬をグランド牧場はどのように手に入れたのか。答えは明快。海外の繁殖牝馬セールだ。バイバイベイビーが落札されたのは21年11月のファシグティプトン社セール(米国)。同馬はタピットを受胎した状態でセールに上場され、代理人のナーヴィックインターナショナルに310万ドルで落札されている。

タイミング的には矢作厩舎のマルシュロレーヌ、ラヴズオンリーユーがBC開催で歴史的な2勝を挙げた直後のセール。同セールではノーザンファームがスイススカイダイバーを470万ドルで落札し、他にも社台ファーム、ノースヒルズ、レイクヴィラファーム、ジェイエスなど多くの日本の競馬関係者が繁殖牝馬を落札している。

グランド牧場生産馬はバイバイベイビーだけでなく、上場番号376番のカレドニアロードの2023(牝、父コントレイル)も1億2500万円で落札された。母カレドニアロード(17年BCジュベナイルフィリーズ覇者)は18年のファシグティプトン社セールで230万ドル(ナーヴィックインターナショナルが落札)。2番子のジャスティファイ産駒(牡)が21年の当歳セリで、1億3500万円、3番子のキズナ産駒(牝)が昨年の当歳セリで1億1000万円で落札されており、子が3年連続で1億円超えの落札となった。

繁殖牝馬に対し、億を超える高額投資をしてきたグランド牧場の努力が近年の、そして、この日のセレクトセールの超高額落札という結果、購買者の評価に表れた。

◆その他 昨年のファシグティプトン社セールでナーヴィックインターナショナルはBCディスタフ2着ブルーストライプを400万ドル、21年のG1デルマーデビュタントS覇者グレースアドラーを200万ドルで落札。2頭はともにグランド牧場のホームページで海外けい養の繁殖牝馬として紹介されている。

【動画】コントレイル馬主が産駒を落札!5分近いセリを3・3億円で競り落とす