無事に帰る(カエル)-。日曜の新潟競馬場、1レースの取材を終え、検量室前から記者席へ引き揚げようとしていると、顔見知りのバレットさん(レース当日にジョッキーを手伝う人)が教えてくれました。「ほら、あそこ、あそこ。今年も来てるのよ」。指さした先は、検量室を出たところにある洗い場の上の窓枠部分です。

カエルがいます。3匹。ちっちゃいです。「毎年現れるの。カエル。ジッとしてるでしょ。ちっちゃいの。どこから来てるのかは分からないけど、いつもあそこにいるのよ。捕まえちゃダメなんだって。岡部さん(幸雄元騎手)が言ってた。カエルはジョッキーが無事に帰るようにあそこで見守ってくれてるんだ、って」。

うじゃうじゃいると、ちょっと怖いですが、洗い場の上に3匹だけ。「あんなところによくくっついてるなあ」と思います。2匹はガラスにくっつき、1匹は白い柱に擬態しているように見えます。1Rで教えてもらって、最終12Rの後に見た時も、ちょっと位置は動いていましたが、3匹のカエルが頭上から人馬を見守っているように見えました。検量室前の守護神のようです。

「岡部さん(05年に騎手を引退)が現役の時だから…、もう何年前に教えてもらった話かな。私もここに長く来ているってことよね。あのカエル、たぶん、私が最初に見たカエルの子どもじゃないかな、それとも孫かな? フフフッ」。バレットさんはほほ笑みました。

カエルさんたちもバレットさんも騎手が無事に帰ること、懸命に走った馬たちが無事に帰ってくることを検量室の前で待っています。厩舎関係者や競馬場で働く職員、スタッフもみなそうです。スタンドでは多くのファンが人馬に声援を送っています。関屋記念(※記者の予想はボロボロでした。猛省)が終わり、8月も後半戦へ。暑い日が続きますし、台風の直撃も気になりますが…。来週も健康に過ごし、競馬を楽しみましょう。【木南友輔】