4番人気アヴェラーレ(牝5、木村)が3度目の重賞挑戦で初制覇を果たした。

直線で前が壁になるシーンがありながら、進路が開くと先に抜け出したディヴィーナを3/4馬身差、差し切った。勝ち時計は1分32秒1。同馬は木村厩舎にJRA重賞初勝利(15年フラワーC)をプレゼントしたアルビアーノの初子。厩舎ゆかりの血統から、重賞ウイナーが誕生した。

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「チーム木村」にとって大きな価値のある1勝だった。アヴェラーレが初タイトルを手にした。母のアルビアーノは木村厩舎に所属して重賞2勝を挙げた。G1は15年NHKマイルCなど3度挑戦して2、5、3着と栄冠には届かなかった。木村師は「彼女にしてあげることが出来なかった悔しさは常に持っています。今日の結果もまた、彼女にもらったプレゼントだと思います」とかみしめた。

スタートを決めると、道中は中団の内ラチ沿いで脚をためた。4角8番手で直線に向くと、目の前には厚い馬群の壁があった。それでも前日12日にJRA通算1400勝を達成した戸崎騎手には、手応えがあった。「これは馬群を割って来られる」。じっくり待機すると、その時が訪れた。少し先を行くラインベックが外に少しよれた。その隙間の進路を選択。最後にディヴィーナを捉えた。「返し馬から調子が良かったです。また上を目指して頑張ってくれると思います」と能力に期待を込めた。

中間はさらなる進化があった。牧場から状態良く帰厩。それでも毛づやを見ても、あと少し良化の余地があった。師は「日曜の追い切り後からガラッと馬が良くなりました」。6日に美浦ウッドで5ハロン68秒7-11秒4を馬なりで計時。この1本が馬を良化させた。3日後の最終追い切りで負荷をかけても、夏負けはしなかった。

今後は放牧へ出されるが、トレーナーは「(距離は)このパターンが一番」とマイル路線への未来予想図を描いた。母が届かなかったG1勝利へ、アヴェラーレは進化を止めない。【阿部泰斉】

◆アヴェラーレ ▽父 ドゥラメンテ▽母 アルビアーノ(ハーランズホリデイ)▽牝5▽馬主 (有)シルクレーシング▽調教師 木村哲也(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 14戦5勝▽総収得賞金 1億2385万6000円▽馬名の由来 実現する(イタリア語)。期待に応え、大きな夢をかなえる