5連勝で一気に頂点! 重賞初挑戦の4番人気ドゥレッツァ(牡、尾関)が淀の直線を力強く伸びて、菊の大輪を咲かせた。

大外枠からまさかの逃亡劇。クリストフ・ルメール騎手(44)は4月の天皇賞・春(ジャスティンパレス)に続き、新装・京都競馬場で早くもG1・2勝目を手にした。管理する尾関知人調教師(51)は16、17年スプリンターズSのレッドファルクス以来、3度目のJRA・G1制覇。前週の秋華賞に続き、ドゥラメンテ産駒からまた1頭、スターホースが誕生した。

   ◇   ◇   ◇

新スタンドからの大歓声が、青いシャドーロールの“怪物”に降り注いだ。ドゥレッツァが残り1ハロンで力強く抜け出し、3馬身半差の圧勝。ルメール騎手は両手を広げ、ガッツポーズで4万6000人の声援に応えた。「勝つことができてすごくうれしい。ゴールした後、テンションが高かったね」。応援に駆けつけた家族ともハグをして喜びを共有した。

誰もが鞍上の手綱さばきに酔いしれた。抜群のスタートダッシュで大外枠からハナへ。戦前は「静かな、優しいレースをしよう」と控える予定だったが、ゲートと体調の良さを考慮してプランを変更した。出入りの激しい競馬にも冷静さを保ち、向正面ではいったん3番手。「長距離はロスなく走ることが大切ね。だから、自分のリズムで冷静に、マイペースで運ぼうと思った」。あとは馬を信じるだけ。直線まで温存していた持ち味のパワフルストライドを、最後の最後で爆発させた。

淀の長丁場はもはや“庭”だ。新装・京都最初のG1だった4月の天皇賞・春(芝3200メートル)もジャスティンパレスで勝利した。改修前から数えて京都のG1は10勝目。そのうち6勝が芝のロングディスタンス、菊花賞+天皇賞・春だ。「京都は向正面の坂がポイント。我慢させることが大事だね」。さすが淀の長距離マイスター。今回は重賞初挑戦のドゥレッツァで、クラシックホース2頭を破る大仕事をやってのけた。

キャリア6戦目、5連勝での戴冠。最後の1冠で新たなスターホースが誕生した。今後について尾関師は「馬の状態を見ながら、オーナーと相談します」と明言を避けたが、さらなる高みを目指し、歴戦の古馬たちに立ち向かっていく。数々の名馬の背を知る鞍上が「2000メートル以上で、絶対にG1レベルで戦える馬です」と評する素質馬。連勝街道のその先には、どんな未来が待っているのだろうか。【藤本真育】

◆ドゥレッツァ ▽父 ドゥラメンテ▽母 モアザンセイクリッド(モアザンレディ)▽牡3▽馬主 (有)キャロットファーム▽調教師 尾関知人(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 6戦5勝▽総収得賞金 2億7927万1000円▽馬名の由来 激しさ、厳しさ(音楽用語)。父名より連想