<オークス>◇19日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳牝◇出走18頭
クリストフ・ルメール騎手(45)騎乗のチェルヴィニア(牝、木村)が桜花賞13着から巻き返し、樫の女王に輝いた。勝ちタイムは2分24秒0。
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牝馬3代の挑戦が実った-。チェルヴィニアの母は16年のオークス2着馬チェッキーノ。祖母ハッピーパスは01年のオークス7着。高かった2400メートルの壁をついに乗り越えた。
記者の印象に強く残っているのは今から8年前、母チェッキーノが樫の舞台を走る数日前のことだ。同馬を管理していた藤沢和雄調教師(22年に定年のため引退)が「この血統なのに穏やか。わからないな」と、つぶやいたことがはっきりと記憶に残っている。
チェッキーノの母ハッピーパスは01年、フィリーズR2着から挑んだ桜花賞でテイエムオーシャンの4着、続くオークスでレディパステルの7着だった。古馬になってマイル重賞の京都牝馬Sを制し、1200メートルのオープン競走を勝った馬。「追ったらちょっと味がない」ところもあったそうだ。
ハッピーパスの半姉にあたるのが93年のマイルCS覇者シンコウラブリイ。もともと気のいい、スピードに秀でた牝系だ。一族の多くを管理し、その血を知り尽くす大トレーナーでさえ、首をかしげるほど、チェッキーノはおとなしい馬だった。
スピードがあるだけでなく、気性が穏やかで、センスにあふれたチェッキーノ。フローラS快勝から向かったオークスは、上がり3ハロン最速タイをマークしながらシンハライトに首差及ばなかった。8年後、その娘であり、ハッピーパスの孫にあたるチェルヴィニアは同様に上がり3ハロン最速タイの数字をマークし、桜花賞馬ステレンボッシュに半馬身差をつけ、樫の女王に輝いた。
サンデーレーシングの吉田俊介代表が「ハッピーパスからすごく大事にしている血統。大切にしていたら、こうして強い馬が出てくれるんだな、と」と感慨深げに話すのもなんとなくわかる。
ハッピーパスの馬名の由来は「幸せの小道」。娘へ、孫へ…。時間の経過とともにキングカメハメハ、ハービンジャーという偉大な種牡馬の血が入り、牧場、厩舎、馬主、携わってきたホースマン、ずっと追いかけてきたファンがいる。血統がつないでいく道は長く、どこまでも続いていく。今年のオークスは血統の深さ、面白さを教えてくれた。【松田直樹】

