名手ジョアン・モレイラ騎手(40)に導かれ、良血シンエンペラー(牡、矢作、父シユーニ)が単勝1番人気に応えた。

最後の直線は馬群の中で絶望的に見えたが、そこからパワフルな末脚で抜け出した。同騎手は、この日の京都の特別戦3連勝を達成した。矢作厩舎は今年のJRA重賞初勝利。今後は状態を見て問題がなければ、12月28日中山のホープフルS(G1、芝2000メートル)へ向かう。

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最後の直線、1番人気のシンエンペラーはピンチに見えた。追われても反応がなく、前には馬の壁が。「負けたかと思った」と矢作師も振り返る。だがエンジンがかかってからの伸びがすごかった。馬群を割って伸び、半馬身抜け出したところがゴール板だった。

「ポジションが悪く、正直心配だった。でも、スペースができてからはすごい脚だった。能力が高い」。“マジックマン”の異名通り、絶望的な局面を打開して、この日の京都特別戦3連勝を果たしたモレイラ騎手は、素質を評価した。

全兄ソットサスは20年凱旋門賞覇者という良血馬。昨年の仏ドーヴィル1歳セリで210万ユーロ(当時約2億9000万円)で落札された。「身のこなしに軽さがあったから買った」と、矢作師は購入理由を説明する。

実際に日本の馬場に適応し、無傷2連勝で重賞制覇。「欧州の馬場にも対応できる頭の高さがある。でも、英ダービーに予備登録していない…。なんとかイギリスやフランスのダービーに出られる道を探ってみる」と将来の欧州遠征も視野に入れる。次の目標はホープフルS。「このあと状態を見て、なんともなければ行きたい」。欧州の良血が暮れの中山でG1を手にするか。【岡本光男】

◆シンエンペラー ▽父 シユーニ▽母 スターレッツシスター(ガリレオ)▽牡2▽馬主 藤田晋▽調教師 矢作芳人(栗東)▽生産地 フランス▽戦績 2戦2勝▽総収得賞金 4069万7000円▽馬名の由来 真の皇帝、新しい皇帝。

◆レコード 京都2歳Sの勝ち時計1分59秒8は15年ドレッドノータスの2分1秒3を上回るレースレコード。また、15年のアグネスフォルテに並ぶ2歳京都芝2000メートルのコースレコード。