牡馬クラシック主役候補の1頭、シンエンペラー(矢作)が、日曜中山の弥生賞ディープインパクト記念(G2、芝2000メートル、3月3日、3着まで皐月賞優先出走権)で始動する。2着に敗れたホープフルSから約2カ月。兄に凱旋門賞馬を持つエリートホースは、リフレッシュ放牧での充電を経て着実な進化を遂げている。

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新馬戦、京都2歳S1着。ホープフルS2着。シンエンペラーはクラシック候補にふさわしい蹄跡を残している。ただ、3戦とも騎乗した騎手はレース後に「子供っぽさ」を口にしていた。特に前走のホープフルSは4コーナーで少し外にふくれ、直線も早く抜け出す形になったことで大きく外によれてしまった。

「まっすぐ走っていればね。直線はよろけて真横に走っていた。それも能力」と話すのは担当の吉田助手。最後の最後で幼さ全開の走りとなってしまい、G1のタイトルを取り損ねてしまった。

あれから2カ月。リフレッシュ放牧で充電したシンエンペラーは今月上旬に帰厩。「気持ちの面で少し大人になりましたね。余計な動きが減りました。それはいい傾向です。いちばん成長してほしいところですから」と同助手。最大の課題である気性面は着実に成長してきた。もともと、クラシック戦線で多くの馬が直面する折り合いに問題がない。今回、子供っぽさが少し抜けたことで間違いなくレースを優位に運べる。

肉体面の方も順調だ。同助手は「体重はたいした上下はないけど、ソエも上の筋肉も大丈夫です」と体調に関しては何の心配もないと言う。24日の1週前追い切りでも余力を残してCウッド6ハロン80秒8-11秒6。搭載エンジンの機能の高さをうかがわせている。

今回は川田騎手と初コンビを結成。新たな鞍上とともに、2歳時から進化した走りを見せて結果を出す。【明神理浩】