重賞2勝馬テーオーロイヤル(牡6、岡田)が「攻めの皆勤」で長距離界の帝王を狙う。日曜の阪神大賞典(G2、芝3000メートル、17日、1着馬に天皇賞・春優先出走権)にエントリー。前走ダイヤモンドSを制し、2年前と同様に天皇賞・春(G1、芝3200メートル、4月28日=京都)へ直行する選択肢もあったが、2走前のステイヤーズSを皮切りにJRA平地芝3000メートル以上の古馬重賞全4鞍に出走する意欲的なローテーションを選んだ。

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弾丸のようにシャープで研ぎ澄まされた体形は、いかにもステイヤーだ。現役屈指の長距離走者テーオーロイヤルが、念願の王座獲得へ進撃する。ダイヤモンドSを勝ったのは2年前と同じ。当時と同様に天皇賞・春へ直行する選択肢もあった中で、今年は阪神大賞典を挟んだ。担当の栗原助手は「2年前は間隔が空いて3着。天皇賞を勝つために、という考え方でトライしてみようということになった」と理由を説明した。

2走前のステイヤーズS(2着)を皮切りに、5カ月間で平地芝3000メートル以上のJRA古馬重賞全4鞍に出走する。過去10年で皆勤はのべ4頭だけ。出走間隔を長くとる傾向が強い現代競馬では異例ともいえるローテーションだ。「使いながら良くしていこうということ。成功例をつくりたいですね」と意欲を口にした。

そんな思惑通りに上昇曲線を描いている。右後肢の骨折で4歳秋から1年近い休養をしいられたが、前走では58・5キロのトップハンデを背負って復活Vを果たした。7日の1週前追い切り(Cウッド6ハロン85秒4-12秒1)にまたがった菱田騎手も「すごくいい動き」と評価した。

あくまで前哨戦とはいえ、完成を迎えた長距離砲に死角はない。栗原助手は「前走より常歩(なみあし)からキビキビして前向きさがある。古馬の体になって、2年前は勢いに任せていったけど、今は長丁場なら自信を持って送り出せる」と胸を張る。時流に惑わされない果敢な挑戦。“たたき上げ”で帝王の座まで上り詰める。【太田尚樹】

◆長距離古馬重賞皆勤 同一シーズンでステイヤーズS→ダイヤモンドS→阪神大賞典→天皇賞・春の4戦すべてに出走したのは、過去10年でマイネルメダリスト(16年天皇賞・春16着=ステイヤーズSとダイヤモンドSの間にAJCCにも出走)、メイショウテンゲン(20年同8着、21年同14着)、トーセンカンビーナ(22年同10着)の延べ4頭しかいない。ちなみに近年では、ビートブラックが4戦に加えて1月の日経新春杯にも出走した上で、12年天皇賞・春を制している。

◆兄はG1馬 テーオーロイヤルの1歳上の半兄はメイショウハリオ(父パイロ)。22、23年帝王賞を連覇し、23年かしわ記念と合わせてJpn1・3勝を挙げるダートの猛者だ。タイプは違うが、能力が高い点は兄弟に共通する。