再起を目指す若者がいます。大塚海渡騎手(23)が13日の調教後、復帰への意気込みを語ってくれました。

昨年10月の調教中に右膝を負傷し、治療に専念していましたが、今月1日よりトレセンでの調教騎乗を再開しています。毎日、1日4頭ほどまたがり、今は馬上での感覚を取り戻しているところ。大塚騎手は「痛みは最初のときより、徐々にとれてきています。許容できる範囲ですね」と話します。馬次第にはなりますが来週、または再来週のレース復帰が濃厚だといいます。

最後の騎乗は22年11月13日の福島。およそ1年4カ月ぶりの実戦が待っています。大塚騎手は「ここ数年、他人との関わりを避けていたこともありました。トレセンを離れている間に心情の変化があって、元の明るい自分に戻れました。周りの人から元気をもらって、応援してもらって、昔の自分を取り戻せたというか。これから経験を積んで少しでも成長して、恩返ししたいです。馬から離れたいと思う時期もありましたし、結果的にこういう気持ちになれたということは、『乗り越えた』という言葉が合っているのかな」と前を向きます。

同騎手は19年3月にデビューし、20年1月に落馬の影響で長期休養を余儀なくされました。22年7月に実戦復帰し、これからという時期にまたしてもけがをしてしまいました。JRA通算3勝。減量特典のない6年目に入り、厳しい道のりが待っているかもしれません。でも、頑張ると決めた表情は早春のすがすがしさを感じさせるものでした。

結果が全ての世界。努力なしに成功はあり得ません。くじけそうだった心を奮い立たせて、また歩き出そうとする。その気概は応援したいと思わせます。腕を磨き、1日でも早くウイナーズサークルに戻ってきてくれることを待ちたいと思います。【松田直樹】