今年3月に開業したJRA調教師8人全員が、14日までに初勝利を挙げた。ジョッキーから転身した福永祐一師が話題となったが、わずか1カ月半で1人残らず白星を飾ったのは快挙といえるかもしれない。

新規調教師は定年解散した厩舎や他厩舎から馬を引き継ぎ、調教助手や厩務員もさまざまな厩舎から個々に集うケースも多い。軌道に乗るまで時間がかかるのが通例。勝運に恵まれず、半年以上要した例も決して少なくない。

皐月賞デーの14日は、小椋研介師が阪神8Rベルシャンブルで勝ち上がり、最後に残った千葉直人師が中山10Rをセイウンプラチナで勝利した。8番人気だったが武豊騎手の手綱でまんまと逃げ切り、3勝クラスの特別戦(ドゥラメンテC)を制した。騎手出身の千葉師は「他の同期が勝つ中で若干焦りはありましたが、自分のペースを貫いてきて良かった」とコメント。ほっとしたことだろう。

高橋一厩舎は既に3勝を挙げた。

福永厩舎はG3アーリントンC3着(チャンネルトンネル)など【2・4・4・9】で複勝率52・6%。

森一厩舎は延べ10頭と少ない出走数で【2・0・3・5】複勝率50%(4、7、5、2、7番人気)と、それぞれ早くも厩舎の色を出している。

長い調教師人生は始まったばかり。これからも馬と一緒に物語を紡ぎ上げていく。【岡山俊明】

【24年3月開業調教師の初勝利と成績(初勝利順、4月14日現在)】

◆高橋一哉師(38=栗東) 3月16日阪神12Rハクサンバード(地方金沢から転入)。4戦目。【3・1・1・19】

◆藤野健太師(46=栗東) 4月6日福島4Rヴァレッタカズマ(定年解散した安田隆厩舎から転厩)。15戦目。【1・0・0・23】

◆矢嶋大樹師(44=美浦) 4月7日中山4Rレッドセニョール(鹿戸厩舎から転厩)。15戦目。【1・0・1・22】

◆河嶋宏樹師(39=栗東) 4月7日阪神6Rウイニンググレイス(定年解散した松永昌厩舎から転厩)。20戦目。【2・1・2・20】

◆森一誠師(46=美浦) 4月7日中山7Rタイセイフェスタ(定年解散した高橋裕厩舎から転厩)。8戦目。【2・0・3・5】

◆福永祐一師(47=栗東) 4月7日福島8Rマルカブリッツ(定年解散した松永昌厩舎から転厩)。13戦目。【2・4・4・9】

◆小椋研介師(42=栗東) 4月14日阪神8Rベルシャンブル(中内田厩舎から転厩)。17戦目。【1・0・1・19】

◆千葉直人師(37=美浦) 4月14日中山10Rセイウンプラチナ(定年解散した小桧山厩舎から転厩)。18戦目。【1・0・0・17】