今年のセレクトセールで最高値をつけたのが、15日当歳馬セッションの「ミッドナイトビズーの25」(牡、父イクイノックス)で、5億8000万円(税抜き)だった。目玉とされたイクイノックスの初年度産駒で、母が米国でG1・5勝、サウジCの初代王者という超良血馬。同馬の血統を「深掘り」して、セレクトセール当歳史上2位タイの高値がついた理由を探る。
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まずは、父系と母父系の相性を見てみよう。「ミッドナイトビズーの25」は父父キタサンブラックで、母の父ミッドナイトルートはミスタープロスペクター系になる。「父キタサンブラック×母父ミスプロ系」の配合で、現在活躍しているのは昨年の函館2歳S覇者サトノカルナバル、今年の福島牝馬Sを制したアドマイヤマツリがいる。
「ミッドナイトビズーの25」の父系はご存じの通り、父イクイノックス、父父キタサンブラック、3代父ブラックタイド(ディープインパクトの全兄)、4代父サンデーサイレンスへと続く。
イクイノックスの母父は高松宮記念覇者キングヘイロー。母父父ダンシングブレーヴ、母母父トニービンはともに凱旋門賞馬。母父母グッバイヘイローはケンタッキーオークスなどG1・7勝の世界的名牝だ。
続いて「ミッドナイトビズーの25」の母系を見てみよう。母ミッドナイトビズーは、米国古馬牝馬女王で、北米で13勝。その中にはダート1700メートルのコティリオンS、アップルブラッサムH、オクデンフィップスS、サンタアニタオークス、ダート1800メートルのパーソルエンスンSのG1・5勝が含まれる。他に、先述したようにサウジアラビアでの20年第1回サウジCも制している。同レースで2馬身差の2着に下したベンバトルは、18年ドバイターフでヴィブロス(2着)やリアルスティール(3着)、ディアドラ(4着)などの日本馬に圧勝した名馬で、引退後は22年から北海道新冠町のビッグレッドファームで種牡馬となっている。
ミッドナイトビズーは、20年に引退して21年から繁殖入り。22年にカーリン産駒の牡馬を出産。同年11月キーンランドの繁殖牝馬セールにおいて、550万ドル(当時レートで約8億2500万円)でノーザンファーム(名義は吉田勝己氏)に落札された。23年にタピット産駒の牝馬を出産。昨年はキタサンブラックの牝馬を出産しており、「ミッドナイトビズーの25」が4番子になる。
ミッドナイトビズーの父ミッドナイトルートは、07年BCスプリントを4馬身以上の着差で圧勝。翌年の同レースも制し、史上初のBCスプリント連覇を飾った名スプリンターだった。 ミッドナイトルートの父で、ミッドナイトビズーの祖父(父父)にあたるリアルクワイエットは、98年ケンタッキーダービー、プリークネスSを制した米クラシック2冠馬だ。リアルクワイエットの父がクワイエットアメリカン、その父はファピアノ、さらにその父がミスタープロスペクターとなる。
ミッドナイトルートの母父父にはデピュティミニスターがいる。クロフネの父父としても知られ、日本でもデピュティミニスターの血を持つ馬が多く活躍している。
ミッドナイトビズーの母ディーヴァディライトはフロリダオークス(G3)など北米8勝だ。
以上の血統背景を見ると、新種牡馬イクイノックスへの期待感、祖父キタサンブラック産駒の活躍ぶり、母の現役時代の実績、母父系の底力、母系に日本で多くの活躍馬を輩出しているデピュティミニスターの血が入っている…など、魅力的要素が多く詰まっている。5億8000万円を回収し、その額を上回る活躍ができるかどうか。早ければ2年後になるデビューを楽しみに待ちたい。【デスクK=東京・築地】

