女王は速くて強かった! 断然の1番人気に支持されたエンブロイダリー(牝4、森一)があっさり突き抜け、昨年の桜花賞、秋華賞に続く3つ目のG1タイトルをつかんだ。勝ちタイムは1分30秒9。騎乗したクリストフ・ルメール騎手(46=フリー)は国内外合わせてG1・100勝目となるメモリアルVに歓喜した。

次走は未定も今後は国内外のビッグレースが候補に挙がる。

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直線半ばを過ぎ、1頭だけ手応えがまるで違う。坂を上がって満を持して追い出されたエンブロイダリーが、グングン加速し、瞬く間に突き抜けた。楽に先団に取り付くとスタートからゴールまで危ないシーンは一切なし。正攻法の競馬を貫き、女王の貫禄を示した。

ルメール騎手は「坂を上がってからも自分から加速してくれて、これなら勝てると思いました。体を大きく使ってさすがG1ホースでしたね。後ろの気配は全く感じませんでした」。後ろの音さえ聞こえない、着差以上の完勝。JRAの春G1は最多記録に並ぶ1番人気の7連勝。人気馬の圧勝劇をスタンドの大歓声が迎えた。

場内インタビューで開口一番、ルメール騎手は「僕にとって(世界各国で)G1・100勝目なんです。すごく気持ちがいいんです!」と喜びを爆発させた。「G1の数は自分でずっとカウントしてしていました。今年に入ってあと3つだなと意識していました。でもゲートに入ってからは全然忘れて集中していました。1番人気で達成できて良かったです」。母国フランス、拠点を置く日本をはじめ、世界中でビッグレースでの勝利を積み重ねてきた。20日に迎える47度目のバースデーへ向けた前祝いであり、今もトップをひた走る鞍上にとって、メモリアルの勝利となった。

新たな名牝を管理する森一師は「しっかり乗り込み、スピードを強化し、思い通りの調教ができた。その辺に成長を感じました。精神面の成長は大きいと思います」と馬をたたえ、「海外のレースも選択肢の1つになると思います」と今後を見据えた。

17年アドマイヤリード、20年アーモンドアイ、21年グランアレグリア、昨年アスコリピチェーノに続く5度目のヴィクトリアM制覇。名牝たちの背中を知る鞍上は「またG1レベルでいい結果を期待したい。日本、海外でまた活躍できると思う」と太鼓判を押した。もはや国内の牝馬マイル路線に敵はなし。大いに可能性を秘める新たな女王はまだまだ躍進を遂げる。【井上力心】

◆エンブロイダリー▽父 アドマイヤマーズ▽母 ロッテンマイヤー(クロフネ)▽牝4▽馬主 (有)シルクレーシング▽調教師 森一誠(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 11戦7勝(うち海外1戦0勝)▽総獲得賞金 5億4781万1000円(同0円)▽主な勝ち鞍 25年クイーンC(G3)、桜花賞(G1)、秋華賞(G1)、26年阪神牝馬S(G2)▽馬名の由来 刺しゅう。母名より連想