10年前の自分、10年後の自分とは-。今村聖奈騎手(21=寺島)はデビュー4年目の今年、JRA13勝(8月17日現在)を挙げ、同通算100勝まで残り5勝と区切りが近づく。
現在は美浦トレセンに滞在して研さんを積み、さらなるステップアップを目指している。デビュー年にJRA年間51勝を挙げた女性ジョッキーのホープは10年前、今の自分を想像することができたのか。そして10年後、31歳になった自分は…。注目を集め続ける彼女の過去と未来に迫った。
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今村聖奈騎手にはさまざまな“将来予想図”がある。騎手を続けている自分、調教師を目指している自分、馬に関わる他の仕事に就いている自分…。未来は無限大だが、変わらないのは“馬が好き”という気持ちだ。10年以上前から抱いていたその感情は今も変化することはなく、10年後もその先も変わることはないと断言する。
「自分の未来について考えるのは好きです。10年後、具体的にどうなっているのかは分かりませんが、競馬に関わる仕事を楽しんでいるのかと。プライベートでは結婚して、お母さんになって、子どもを育てていたいと想像したりします。幼少期には『23歳で結婚する』と周りに言っていたんですけどね(笑い)」
これからも増えるであろう女性騎手のために、責任感もある。JRAでは結婚、出産の経験をへて復帰した女性騎手はまだいない。そんな前例を作ることも自分に必要な役割であると考える。
「これからこの世界に飛び込む後輩たちのためにも、誰かが先駆者としてやっていかないと、という思いはあります。それでいて、入ってくる後輩たちには負けず、活躍する騎手でありたいですね」
具体的な未来を想像する一方で、10年前は今の活躍を予見できていなかった。父はJRAの障害騎手・康成氏(現在は栗東・飯田厩舎の調教助手)。幼少期から馬が近くにいる環境で育った。ただ、当時の夢は騎手ではなく「父みたいな調教助手になりたい」。騎手になる自身を、小学5年生の聖奈騎手は想像できなかった。転機はその約1年後、小学6年生の頃。栗東トレセンへ父に連れて行ってもらい、調教を見学。週末は競馬場に行き、騎手の姿を目の当たりにした。
「当初は競馬は好きだけど、騎手になりたいとはあまり思ってなかったです。ただ、実際に近くで騎手を見てかっこいいなと。目指したいと明確に考えが変わった時でした」
乗馬を始めた頃はパワーのある馬を乗りこなせず、トレーニングで他の人に置かれたり、心が折れてもおかしくない状況が続いた。それでも「騎手になりたい。周りが支えてくれている」。その強い気持ちで歯を食いしばった。体力をつけるため、自宅から栗東の乗馬苑まで30分、自転車をこいで通うなど努力も怠らなかった。
憧れの騎手になって約3年半がたった。さまざまな偉業を達成した。一方で、反省、挫折もあった。今があるのは、過去のいろんな経験があるからこそ。
「私は10年前に、たくさんのジョッキーから夢を与えてもらいました。今、そして10年後には、私が子どもたちにたくさんの夢を与えてあげられるようになりたいです」
今村聖奈ストーリーは序章が終わり、第2章へと突入した。【藤本真育】

