「メイショウ」の冠名で知られる馬主・松本好雄オーナーが、23日の中京3Rをメイショウハッケイで勝利し、個人馬主として初めてJRA通算2000勝を達成した。

かつて、“小倉3冠”メイショウカイドウなどを管理した、日刊スポーツ評論家の坂口正大元調教師(84)も偉業を祝福し、厩舎関係者の1人として感謝を口にする。

「かなり前からクラブ法人(一口馬主)が主流となる中で、松本会長のように個人でセリにも行き、庭先でも馬を買うといったように、競馬隆盛前の昔のシステムを続けてくださっている方は少ない。牧場の関係者を喜ばせ、厩舎関係者も喜ばせながら、ご自身も楽しんでおられて、それを長年続けておられることは意義深いことだと思います。馬にたずさわる厩舎人の1人として本当にありがたいです」

長年の付き合いの中で、松本オーナーが大切にする「縁」を、坂口元師も身をもって体験してきた。

「著書にも書かれていましたが、人との縁を本当に大事にされている。馬を買って走らせるだけでなく、普段からの付き合いを重んじて、ベテランであろうと若手であろうと分け隔てを一切されない。今の時代にあって、多くの人が忘れがちなものをずっと大切にしておられる。だからこそ、みんなが慕うのであり、そういう人はなかなかいないと思います」

かつて、坂口元師が松本オーナーから預託されたメイショウカイドウは、小倉競馬場で施行されていた3つの古馬重賞(小倉記念、小倉大賞典、北九州記念)をすべて勝利するなど、重賞5勝を挙げて大活躍した。その裏側にも、松本オーナーの人柄がわかるエピソードがある。

「メイショウカイドウの母キンセングローリーも私の管理馬でした。冠名『キンセン』の馬主さんが亡くなられた際に、牧場の馬などをすべてマヤノトップガンの田所オーナーと、松本オーナーが引き受けてくださった。生まれた馬はお二人が半持ち(50%ずつ所有)されていて、メイショウカイドウもその1頭でした。賞金は半分ずつですが、いろいろいただける賞品は、松本オーナーが田所オーナーに『持って帰ってください』といつも譲っておられました。昔からそういう方です」

2000勝の大偉業はもちろん1日にしてならず、松本オーナーとたくさんの人、馬との縁が積み重なって達成された。坂口正大元師もその1人。「メイショウ」の馬が走るたび、勝つたびに、また「縁」は広がっていくのだろう。【伊嶋健一郎】