JRA唯一の女性トレーナー前川恭子調教師(48)が、開業1年足らずで海外初挑戦に臨む。転厩3戦目の“二刀流”サンライズジパング(牡5)が世界最高賞金サウジC(G1、ダート1800メートル、14日=キングアブドゥルアジーズ)にエントリー。王者フォーエバーヤング(牡5、矢作)を擁する“恩師”矢作芳人調教師(64)に真っ向勝負を挑む。「サウジC最前線」担当の太田尚樹記者が胸中と勝算を取材した。
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開業1年足らずにして、砂漠の大舞台へ戻ってくる。2年前のキングアブドゥルアジーズ競馬場パドック。海外初戦サウジダービーに臨むフォーエバーヤングの右側で、前川師は引き手を握っていた。当時は技術調教師として研修中。志願して矢作厩舎に帯同した。
「1600メートルは短かったですけど、信じてました。厩舎としてもシステマチックにやっていて、イレギュラーが起きても慌てず騒がず対応してましたね」
競馬は何が起こるか分からない。アウェーならなおさらだ。自身も助手時代の20年にJpn3勝ち馬ゴールドクイーンとともにドバイ遠征へ向かったが、コロナ禍で直前に開催が中止となった経験を持つ。不確定要素ばかりの海外で、いかに立ち回るか。それを教わったのが矢作師だった。
厩舎を立ち上げる準備と並行して世界を飛び回り、高木厩舎も含めて9回7カ国の海外遠征を経験した。あれから丸2年。今や世界一を極めたフォーエバーヤング&「チームYAHAGI」に挑む。
「めちゃくちゃ大きい目標なので『打倒』なんて言えないですけど、なんとかいい勝負になれば。胸を借りるつもりです」
ともに海を渡るサンライズジパングは昨年11月に転厩で管理馬に加わった。芝とダートの“二刀流”だからこそ多くの選択肢があった中で、世界最高賞金サウジCをチョイスした。昨年3月にオープンした厩舎にとっても世界デビューだ。
「ありがたいの一言。オーナーにも感謝の言葉しかないです。海外指向が強いというわけではなく、合う条件があればどこでもという感じ。有馬記念(5着)でレーティングを上げて、自分でつかんだチャンスですから。『行かない手はない』と思いました。あの馬場への適性もあるのでは」
パンサラッサ、ミシュリフ、ロマンチックウォリアーをはじめ、芝での実績馬が台頭するコースだ。地の利を生かせれば、大駆けも夢ではない。厩舎カラーの「ティファニーブルー」は、アラビアンナイトにどんな輝きを放つだろうか。

