結果的に失点にはならなかった。でも絶対に見過ごしてはいけないミスが、4回裏にあった。誰も1球のボールに集中できていない。そのワンプレーに開幕2勝10敗の低迷を象徴する4つのミスが凝縮されていた。

1死一塁で、三塁を守るマルテが加藤のセーフティーバントを処理し、一塁アウトにしたまではよかった。だがこの時、三塁ベースはガラ空き。ボーアは投げたくても投げられず、二塁止まりのはずだった一塁走者の京田が、労せず三塁に到達した。

<1>真っ先に三塁カバーに走らないといけないはずの投手のガルシアは棒立ち。<2>ならば捕手梅野が行かないといけないが、出遅れた<3>となれば遊撃の北條だが、「空いている」と声を出すのではなく、自分が走らないといけない。<4>そして、目の前で全てが見えた三塁側ベンチは、誰か大声で指示していたのか。どれか1つでもできていれば、京田の三進は防げた。

もっといえば左翼の高山も。深めだったので当然間に合わないが、三塁悪送球カバーもあるのでバントの時点で前に出ないと。たとえ無理でも、三塁カバーする気概があってもいい。前日マルテが二塁へ悪送球した際、糸井のカバー遅れで失点につながったことも同じ。失策が記録されない個々の動きにも、集中力の欠如を感じずにはいられない。

まだ12試合、シーズンの10分の1が終わっただけで戦いはこれからのはず。でも消化試合のように、目標を失ったチームがやるプレーで、こういう話自体、プロの選手に言いたくない。でもこういう試合を重ねれば、絶対チームは浮上できない。今日は0点でも今後大きなミスにつながり、もっとチームの雰囲気をダメにする。3日から戦う広島相手に同じスキを見せれば、豊富な機動力でもっと塁を奪われる。エラーは誰もやろうと思ってやっていないから仕方ない。でも集中力1つで凡ミスは防げる。全員が1球1球への集中力を高めないと、活路は開けない。

中日対阪神 4回裏中日1死一塁、加藤(右)の送りバントで一塁走者の京田が三塁へ向かうもボーアはカバー不在で投げられず(撮影・上田博志)
中日対阪神 4回裏中日1死一塁、加藤(右)の送りバントで一塁走者の京田が三塁へ向かうもボーアはカバー不在で投げられず(撮影・上田博志)
中日対阪神 4回裏中日1死一塁、加藤の三塁線への犠打で一気に三塁へ進んだ京田。手前は梅野(撮影・前岡正明)
中日対阪神 4回裏中日1死一塁、加藤の三塁線への犠打で一気に三塁へ進んだ京田。手前は梅野(撮影・前岡正明)