遅すぎる1勝だった。東京ドームで今季初白星。すでに巨人にマジック点灯を許したところで、なんとか白星にこぎつけた。

吉田 ここまで東京ドームで勝てなかったのは、開幕戦で西勇を立てて敗れたことが響いていた。あの試合、わたしはもう1イニング託すべきと思ったが、継投に出た岩崎が吉川尚に逆転本塁打を浴びるわけです。開幕カード3連敗で、負の流れを引きずってしまいましたな。阪神にとって東京ドームでの1勝8敗は屈辱です。この悔しさを糧にしないといけませんわ。

1回。近本の先制本塁打の後、梅野、大山の長短打で2死一、三塁から、ボーア、陽川が四球を選んで押し出しの2点目が入った。

吉田 これから阪神に求められるのは、ボーア、陽川の2人がみせた粘りじゃないですか。もちろん打ちにいってるわけですが、ボール球を打たないという粘りです。ボール球を打たないのは技術が必要なわけで、今後のチームの課題でもあります。今日は巨人サンチェスの不調もあったが粘り勝ちでした。

これが首位決戦の天王山ならよかったが、11-0の大勝も素直には喜べない。

吉田 巨人はでき過ぎでここまできた。このまま簡単に優勝するとは思えない。阪神は力を出し切ることで、まだ今からでも遅くないと思ってるぐらいですわ。それには「3番」を育てることですな。「3番がいない」と言ってるようではいけませんわ。育てないと。それが矢野監督の評価になるんです。厳しいのは現実ですが、それを最後まで乗り切ってこそ、力がついていくんです。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】