オリックスがまたもワンチャンスをモノにした。初戦はT-岡田の適時打で“スミ1”の勝利、この日は6回の杉本の2点本塁打だけで逃げ切ったのだから、まさに値千金の本塁打になった。

6回は2死から、吉田正がロッテ美馬の右膝上を直撃するヒットで出塁した。その打席まで杉本は2安打を放っていたから、走者がたまった場面で回ればスイッチもあるとみていたが、緊急降板は想定外だった。

ただブルペンから2番手東妻が出てきたのが早かったから、ロッテも準備ができていたのだろう。6回2死一塁。そのピッチャーの代わりばなの初球を杉本が捉えたのは、狙って打ったホームランだった。

前日10日の8回の杉本は、やはり鈴木から代わったばかりの東妻の2-2からのスライダーで空振り三振に倒れていた。その同じ球種、スライダーを狙った結果が、決勝2ランになったというわけだ。

もちろん2点リードだけでは勝負の行方はわからなかった。ここで6回3安打無失点に抑えていた田嶋から、右の吉田凌にスイッチしたのは、中嶋監督の勝負勘がさえたと言える。

田嶋の立ち上がりは好調ではなかったが、尻上がりだった。6回77球の球数を考えても7回を投げ切るとみていた。しかし、7回は中村奨、レアード、エチェバリアと右打者が続くことで継投を決断したのだろう。

その交代機を読んだ中嶋監督の采配が的中し、吉田凌からヒギンス、平野佳の継投もはまった。中盤に捕手伏見が盗塁阻止、バント処理の好プレーで、得点圏への進塁を防いだのも大きかった。

後がなくなったロッテは、打線を組み替えてくるだろう。それが機能するか否かが巻き返しのカギを握っている。(日刊スポーツ評論家)