ソフトバンク対西武戦からは、いくつか感じるものがあった。まず、ソフトバンクの谷川原にセンスを感じた。わずか数打席を見ただけで、技術的な部分には踏み込めないが、与えられた仕事を確実にこなす安定感があった。
3点リードの8回裏、無死一塁。バントの構えから2球見送り、カウント2-0。構えから自信が伝わってくる。ソフトバンクが試合を有利に進めながら、ダメ押しを奪えない展開。ここは確実に好機を広げる場面だが、谷川原はよく周りが見えていると感じた。
打者有利の2-0から、真ん中の真っすぐをバスターエンドラン。引っ張ってもいいし、逆方向へ打っても左前に運べるボールだった。谷川原の打球は三遊間への当たり。源田がやや深いところで捕球し、一塁でアウトにしたが、谷川原はしっかり仕事を果たした。
ソフトバンクは新型コロナウイルス感染でかなりの影響を受け、選手をやりくりしながら、ここまで首位争いを続けている。打線の核を担う柳田も復帰したばかりで万全ではない。この試合でも仕留め損なっていた。だが、私は打ち損じた柳田が悔しがる様子がとても印象に残った。
これは大事なことで、そうした柳田の態度をベンチの若手も、そして首脳陣も見ている。凡退してのほほんと何事もなかったかのようにベンチに戻るのではなく、ミスショットを悔やむ姿を表に出すのは、むしろチームの士気を高めると感じる。
同様に、復帰したばかりの三森は2日の試合は2安打で活躍したが、この日はノーヒット。表情を崩さずベンチに戻る姿に、もっと感情、気迫を出していいと感じた。私はこれまで巨人中心にペナントレースを見てきたため、淡々と振る舞う姿に慣れていたのかもしれない。ここから西武、オリックス、そこに楽天まで含めての勝負が始まる。そういう時は、ベンチが一丸となって1点を奪いに行く場面も出てくる。重要局面では、打てなくても、次打者にいい影響を与える振る舞いが大切になってくる。
まだどのチームが抜け出すかは不透明だが、柳田はいずれ本来のバッティングを取り戻す兆しが見える。ベテランが調子を上げていくソフトバンクには谷川原など若手の存在もあり、層の厚さを感じた。(日刊スポーツ評論家)




